ライターと著作権は切っても切り離せない!まさか自分が被害者に… ?

ライターと著作権は切っても切り離せない!まさか自分が被害者に… ?

私を含め、webライターは創作物である記事を世の中に発信していますよね。どのような方向性で書くのか、どのような情報を載せるのかに頭を悩ませて執筆した記事は、webライターの個性が表れた著作物です。もしこの記事を盗用されたなら、webライターは盗用した人に対して民法709条に基づき損害賠償を請求できます。

また、その記事が自分のものであるとして表示名の変更を求めるなど、名誉等を回復する措置を請求できます(著作権法115条)。ただ、話はそう簡単でもないんですよね。

その記事の著作権、ほんとにあなたが持っていますか?

まず、webの記事、特にコラム記事は多くの場合が著作物に該当します。しかし、記事を生み出したwebライターが著作権者かというと、必ずしもそうとは限りません。たとえば、サグーワークスの場合、著作権はサグーワークスに譲渡していますよね(サグーワークス利用規約7条1項)。このため、何者かが文章をそのまま転載していたとしても、webライター個人は複製権(著作権法21条)の侵害であると主張して、損害賠償を請求することはできません。

一方、著作者人格権は譲渡できませんが、通常、不行使特約を締結します(参照サグーワークス利用規約7条2項)。この特約はあくまでも相対的なものなので、第三者が改変したり別の誰かの名前で公表したりした場合には、webライター自身も元に戻すように請求できるでしょう。

ところが、ここで厄介なのがネットの匿名性です。内容を変えたのは全くの第三者ではなく、お金を払って発注したクライアントのほうかもしれませんよね。頭を悩ませるところではありますが、「投稿記事について」不行使特約を締結していること、不行使特約の趣旨がクライアントとのトラブル防止にあると思われることからすれば、やはりwebライター自身は何も言えないでしょう(加害者が第三者であると特定できた場合を除く)。

おそらく、サグーワークスに限らず、大手のクラウドサービス会社ならば同様の規定があると思われますので、結局この場合webライターに採りうる対策はありません。承認されてお金を受け取った時点で、その記事はwebライターの手を離れたことになります。

難しいのは加害者の特定!悩んだら弁護士に相談しよう

次は、直接取引の場合を想定してみましょう。この場合、著作権を誰が持つか、著作者人格権不行使特約を結ぶか否かは当事者間で自由に決めることができます。当然ながら、著作権をwebライターに帰属させ、特約は締結しないとするのが最もwebライターに有利な状況です。

個人的にはよほどの事情がない限り、特約まで締結する必要はないと思います。思い入れの強い記事であれば、著作権もwebライターに帰属させておいたほうが良いでしょう。クライアント以外の誰かが記事を盗用したのを発見したとします。この場合、まずそのweb画面を保存しておきましょう。

日付が重要となるので、右下にPCの時計を表示させておいてください。次いで、その記事を盗用したのは誰かを特定します。個人のサイトやブログ、掲示板であればIPアドレスの開示を求めていきます(発信者情報開示請求)。もっとも、これらの手続きは専門知識を要するため、ネットに強い弁護士に依頼したほうが確実です。

誰を被告にするかは悩みどころ

ここで、最後に発展的なことをお伝えしましょう。裁判を起こすなら、経済的に苦しい人よりもたくさんのお金を持っている人や企業を相手にしたほうが賢いといえます。このため、なるべく一個人ではなく企業、それも母体の大きな企業を被告にすべきです。たとえば、大勢のwebライターを雇って記事を執筆させ、その記事と一緒に広告を掲載してその収益で大いに潤っていた企業があるとします。

そして、あなたの記事がその企業のwebライターのひとりにそのまま盗まれたとします。この場合、webライターよりもその企業を被告としたほうがより多くのお金を得られるはずです。故意・過失の立証にはやや困難を伴いますが、企業を相手にすることは十分に可能です。webライターを特定する必要がないので、企業を相手にすることで裁判を進めやすい場合もあるでしょう。web上の盗作はなかなか難しい問題ですが、webライターとしては権利意識をしっかりと持っておきたいところですよね。

こぶたのまとめ

自分の執筆した記事を盗用された場合、盗用した人に対して原則損害賠償を請求できる。
しかし、ネットでは匿名性の問題があり、被告を特定し損害賠償を請求することは簡単なことではない。
盗用されたことを示す証拠を確保した後は弁護士に任せると良い。

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