その使い方はNG!文章が伝わりにくい言い回しや表現

その使い方はNG!文章が伝わりにくい言い回しや表現

記事を書く際に無意識の間に多用してしまいがちな言い回しや表現があります。一種のクセのようなものです。しかし、それによって文章のリズムが悪くなったり、意味が伝わりにくくなったりするケースがよくあります。

そこで、伝わりやすい文章を書くために修正すべき言い回しや表現について説明していきます。

接続詞の使い方に注意

接続詞は文と文のつながりをわかりやすくするために便利な道具ですが、多用しすぎると表現がまわりくどくなってしまいます。
例えば、コラムなどを書いていると論旨を強調するために、『つまり』、『すなわち』、『その上』などの強調の接続詞を使いたくなります。

しかし、それらの接続詞は無理に使わなくても案外意味は通るものです。下書きの段階では文章の流れをはっきりさせるために接続詞を多用してもかまいませんが、見直しの段階でくどいと思う部分があれば、どんどん削っていきましょう。

ただ、そうは言っても削れない接続詞もあります。『しかし』、『けれども』、『だが』などの逆接の接続詞です。これを削ってしまうと意味が通じにくくなります。それと同時に、逆接の接続詞は連続して使用してはいけないという決まりごとも覚えておいた方がよいでしょう。
例えば、以下のような文章です。

ダイエットの方法として断食を選択する人がいます。
しかし、素人が安易に行うと昏睡状態に陥る恐れがあり、危険です。
だが、ダイエットを行うには食事制限はかかせません。
しかしながら、食事制限も栄養バランスを考えて行わないと健康を害する恐れがあります。

論旨の方向性が何度も反転しており、非常にわかりにくい文章になっています。二重否定の場合もそうですが、人間は何度も文章の方向性を逆転させられると理解が追い付かなくなります。

二重否定の例で言えば、『ダイエットには食事制限が必要ではないわけではありません』といった感じです。必要なのか必要でないのか一体どっちなのだと言いたくなります。

読者に対して、わかりやすい文章を書こうと思えば、逆接の接続詞の連続使用や二重否定などを控え、読者をいたずらに混乱させないようにする配慮が必要です。

文章を回りくどくする『~こと』という言い回し

私たちが文章を書くときについ多用してしまいがちなのが曖昧表現です。例えば、『~こと』『~もの』などです。これらを使いすぎると文章から明確さが失われ、意味が曖昧になってしまいます。

したがって、『こと』や『もの』という言い回しは控え、ほかの言葉で言い換える習慣を身につけましょう。以下はその具体例です。

『ダイエットの方法にはいろいろなものがあります』
 ↓
『ダイエットの方法にはいろいろな種類があります』
『目的地までのルートには以下のものがあります』
 ↓
『目的地までのルートには以下の選択肢があります』
『将来後悔することがないように』
 ↓
『将来後悔する結果とならにように』

また、『~こと』『~ということ』などの表現は、意味が曖昧な故に適当に書いてもなんとなく文が成立してしまいます。そのため、油断するとすぐに『~こと』、『~ということ』だらけの文になってしまします。
少々極端な例ですが、以下の文章を読んでください。

例文A
ダイエットに食事制限が必要だということは断食をしろということではなく、栄養を十分に摂るということに配慮しながらカロリーを減らすことが大切だということです。
例文B
ダイエットに食事制限が必要だといっても、それは断食をしろという意味ではなく、栄養を十分に摂りながらカロリーのみを減らす工夫が必要だということです。

例文Aは『~ということ』という言い回しが頻出し、読んでいると頭が痛くなってきます。それに対して、例文Bはそれらをばっさりと削り、ずいぶんすっきりとした文になっているのが分かります。

このように、読み返してみて『~こと』の言い回しが多いなと感じたり、ひとつの文にふたつ以上あったりした場合は、どんどん削って他の言葉に置き換えていきましょう。

意外に多い『てにをは』の誤用

文章の理解を妨げる大きな要因の一つに『てにをは』の誤用があります。『てにをは』は日本人なら誰でも間違いなく使えるだろうと思っている人もいるかもしれませんが、それなりにキャリアを積んだライターでも意外と間違いやすいものです。

特に、よくあるのが『に』と『を』の誤用です。例えば、『声がする方を向いた』は正しい用法ですが、『窓が南を向いている』というのは誤用です。『を』使用するのは自発的動作を表現する場合であり、静止物の状態を示す助詞は『に』です。

『窓が南を向いている』では、昨日までは北を向いていた窓が移動して今日は南を向いているといったイメージになります。したがって、この場合は『窓が南に向いている』が正解です。

また、『が』と『を』の使い分けも油断すると間違う場合があります。『テレビ番組を放送している』は正しい使い方ですが、ついつい『テレビ番組が放送している』などと言ってしまいがちです。

『てにをは』には複雑なルールがあり、専門家以外でその用法をすべて説明できる人はまずいないでしょう。

ほとんどの人は感覚的に『てにをは』の使い方を身につけており、多少の誤用があっても日常会話の範囲であれば、それで不自由することはありません。

しかし、ライターとしてスキルアップを目指すのであれば、間違いやすい用法はあらかじめ調べておき、正しい日本語で記事を書く努力をする必要があります。『てにをは』を間違えている文章は、読んでいて違和感があり、読者の理解を阻害する原因になるからです。

また、『てにをは』の間違いを減らすには下書きを書いた後に、声を出して読んでみるのも有効です。読んで違和感を覚える部分にチェックを入れ、『てにをは』の使い方が間違っていないか調べてみましょう。それを繰り返しているうちに誤用の頻度は減ってくるはずです。

クセの矯正が重要

伝わりにくい文章というのは、長年修正されないまま定着してしまったクセが原因になっているケースが多いものです。それを直すには正しい文章を学び、自分で間違いに気付いていくしかありません。

まずクセを自覚し、ひとつずつ矯正をしていきましょう。

▼伝わりやすい文章が書けるライターになるには執筆数をこなすのみです!
まずはサグーワークスに無料ライター登録をしましょう
468_60

こぶたのまとめ

  • 使用しなくても意味が通る場合は極力接続詞を削る
  • 逆接の接続詞の連続使用や二重否定の多用はNG
  • 『~こと』、『~もの』という表現は多用しない。
  • 『てにをは』は意外と間違いやすいため、日ごろの学習と下書きの後のチェックが重要

間違った文のクセを矯正して、適切な表現や言い回しを身につけていきましょう。

この記事をシェアする

みんなの感想文

この記事は役立ちましたか?
はい・・・9人 / いいえ・・・1人
  • 言葉の言い回しや、普段ついつい使ってしまっている言葉使いのクセなど沢山あると思いますので、とても参考になりました。日本語の難しさ、文章だけで人に伝える難しさなど、判りやすいです。周りくどい言い回しはよくあるので勉強になります。
  • 今まで接続詞の選び方についてそんなに悩んだことがありませんでしたが、この記事を読んでその重要性がよく分かりました。「〜こと」という言い回しが、文章を回りくどくするという記載には目から鱗が落ちる思いでした。
  • こと、ものという言葉の多用については、特に文字数を意識しなければならないときに身に覚えがあり、気をつけなければいけないと気づきました。置き換え可能な言葉のレパートリーを増やすと同時に、言葉のリズムに気を配ってみようと思います。
  • 記事を書いていると、無意識のうちに言い回しのクセがでていました。読み返すと不自然な部分があり、伝わりにくいと自分自身感じていました。接続詞も書かれている通りだなと感じました。表現力とわかりやすさに十分注意したいと思います。
  • 「てにをは」が文章で大切なことは気づいていましたが、「を」と「に」の区別にそんな違いがあるとは知りませんでした。感覚で日本語を書くだけでは身につかないとも感じました。今度から、意識して区別してみたいと思います。
  • 文章を書く際についての注意点がよく分かりました。特に「てにをは」は普段から使っている言葉にも関わらず、よく間違えることが多いので気を付けたいと思いました。長年のクセを修正するのは難しいことですが、すこしづつ直していきたいです。
  • 文章の言い回しは本当に大事だと思います。このブログを拝読しながら、思い当たることがありましたので、とても反省しました。もしもライターを始めたばかりの方、文章の書き方に疑問を持っている方にとって参考になるブログです。
  • 大変ためになりました。母国語でも、母国語だからこそ感覚的にしか知らなくて、間違った文法を使っていることがあるのだなと思いました。このような内容のことをもっと勉強したいですが、なかなかそのような機会がありません。ですので、第二弾、第三弾、と続けて欲しいなと思います。
  • 自分のこれまで書いていた文章を振り返ると「てにをは」の使い方が曖昧で誤用だった部分もあったので気を付けたいと思いました。また二重否定を多用しがちだったので、推敲を重ねるなど工夫をしてしっかりとした文章を書けるように頑張りたいです。
  • 私の文章のタイプを振り返ってみると接続詞の使い方が曖昧だったので、気を付けたいと思いました。また私も「てにをは」の誤用も多いなと感じたので、今後は下書きの際の入念なチェックも忘れないようにしていきたいです。
ページトップへ戻る