文章力を鍛えるシリーズ6<専門的な言葉を理解しよう>

文章力を鍛えるシリーズ6<専門的な言葉を理解しよう>

シリーズ6回目のテーマは「専門的な言葉を理解しよう」です。大事なのはその言葉ではなくそれが意図する中身の方ですが、ライターならば知っておいて損はありません。今回は「こそあど言葉」「オノマトペ」「てにおは」の3つを簡単に紹介していきます。

こそあど言葉

「これ、それ、あれ、どれ」といったいわゆる指示語郡の総称のことです。それぞれが「これ、この、ここ、こちら」といった感じに派生し、どんな記事でもほぼ何かしらが使用されています。

基本的にはこれらが指示する主語が文章内に存在していることが使用の前提ですが、「この世」「あの世」のようにそれ自体が意味を持っている表現も数多くあります。このような副詞や連体詞の例を除けば、「こそあど言葉」はほぼ全てが代名詞だと認識して問題ないでしょう。

しかし、文章に対して何か指摘がある場合に「こそあど言葉がおかしい」という風に言われることはまずありません。あくまで総称としての言葉なので、この言葉自体は頭の片隅に置いておく程度で問題ありません。

オノマトペ

「ガチャガチャ、キラキラ、ポンポン」といった「擬声語・擬態語・擬音語」などを指すフランス語です。言語としてみると日本語には特に多いらしく、これは漫画の表現を見ると顕著でしょう。「ゴゴゴゴゴ」や「ドドドドド」といった表現が多くの漫画で使われています。

例えば英語だと爆発音を「BOOOOM!」や「BANG!」などと表現しますが、バリエーションは日本語の方が遥かに多いのは間違いありません。ちなみに「キラキラ」のように同じ単語を繰り返すものは「畳語」と言います。

また、オノマトペは対象の感情や状態を表す際に効果的な表現で、日本語における表現方法は、無数にあるオノマトペによって成り立っています。

グルメ記事やリポートでは食べ物を表現する際に「ほくほくなジャガイモ」「ふわふわな生地」といった具合に多種多様な表現ができ、オノマトペを用いた表現は非常に重要です。しかしそれと同時にオノマトペは抽象的で曖昧な表現でもあります。例えば風邪の症状を伝える際に「喉がイガイガする」と言う人が多いのではないでしょうか。言いたいことはわかりますが、やはり具体性に欠ける表現です。

物事を明確に表現したい場合は、複数の単語による論理的な説明が必要となる点を理解しておきましょう。

てにをは

助詞の古い呼び名ですが、文章関係のやり取りでは今でもよく使われる表現です。日本語にだけ存在するルールで、意味自体は同じでも両者でニュアンスが微妙に異なってくる場合があります。まずはいくつか例を挙げてみましょう。

同じようで違う「は」と「が」と「も」

  • 私は絵を描くことは好きです。
  • 私は絵を描くことが好きです。
  • 私は絵を描くことも好きです。

どれも「絵を描くことが好き」という文章ですが、ニュアンスは異なってきます。「が」は「は」よりも強調の意味合いが強く、他にもいろいろある中で絵を描くことが特に好きだという文章に。「も」の場合は数ある「好きなこと」候補の中の一つとして絵を描くことが好きだという文章になります。

  • 先生が教室にやってきた。
  • 先生は教室にやってきた。

「が」の方は主観的な表現で、先生がたった今やってきたかのような意味合いに。それに対し「は」の方は客観的な表現になり、「が」よりも過去形としての色が強くなります。

連続すると締まりがなくなる「の」

  • 【×】昨日の新聞の広告の品が欲しい。
  • 【○】昨日の新聞に挟まっていた広告の品が欲しい。

「の」は同じ文章内で続けて使われると非常にだらしなくまとまりのない文章になります。所有の意味(誰々のもの、何々のもの)を表す時以外はなるべく使用しないのが無難です。

微妙に違う「に」と「へ」

  • 京都へ行きます
  • 京都に行きます

どちらでも文章的には問題ありません。しかし、「へ」はただ方向を示すのに対して「に」は到達点を示すとされています。この場合はより強い断定の意味合いがあるのは「に」の方で、「他のどこでもない京都へ行く」という意味合いになります。

演出重視な「より」と自然な「から」

  • ただ今より試合を開始します。
  • ただ今から試合を開始します。

「より」はこのような場合だと「から」と同じで起点を示す使い方ができ、アナウンスや司会などを行う場合は「より」の方が雰囲気が出ます。しかし、「より」は比較を表す際に使われるのが一般的です。安易に使うと誤解を招くので気をつけましょう。

これらはあくまで一例です。助詞の例は無数にありますが、読んでいて何か違和感を感じたらそれは助詞の使い方が間違っている可能性が高いでしょう。

▼誰が読んでも同じ解釈ができる文章が理想的です。
サグーワークスのライターになって感覚を掴んでいきましょう。
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こぶたのまとめ

一番大事なのはこれら3つの言葉よりも、その意味するところと使い方です。日本語は難しいとよく言われますが、それだけ多彩な表現ができる言語でもあります。多彩な表現ができるライターになれるよう頑張りましょう。

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みんなの感想文

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  • この記事で紹介されていた3つの専門的な用語はどれも初耳で意味も全く知らなかったのでとても勉強になりました。「こそあど言葉」「オノマトペ」「てにをは」を文章に上手く取り入れていけるように努力したいと思います。
  • 私もライティングの仕事をする身なので、言葉が連続することはできるだけ避けています。当たり前のことですが、作成した文章を一度読んでみて気になる表現は訂正します。この訂正作業の時に、とても役に立つものであると思いました。
  • 知らない言葉ばかりだったので非常にためになりました。今まであまり意識していなかったことなので、これから文章を作る際は意識したいとおもいます。また、「てにをは」は有名な概念ですが、忘れないように気を付けたいです。
  • 文章を書いていて「てにをは」の使い方にとても悩んでいたので、為になりました。一文字でニュアンスが微妙に変わってしまうので、改めて日本語は難しい言語なのだと実感しました。誰が読んでも分かりやすい、多彩な文章が書けるように努力しようと思います。
  • これはとても勉強になるブログだと思います。「てにをは」はもちろん「より」「から」の違いなど、よく分からないまま在宅ワークを始めるケースは多いのではないでしょうか。是非、在宅ワークを志す方に読んでもらいたいです。
  • てにをは、オノマトペ、こそあど言葉と、日本語って難しいとつくづく思う三大要素をライティングでどう扱うかが簡潔にまとめられていて、助助かります。折に触れて、記事の項目を確認したいと思いました。使いどころを意識して、というアドバイスが効きました。
  • 「こそあど言葉」、「オノマトペ」そして「てにおは」はどれも大切だし、微妙なレベルで文章全体をコントロールしてくれます。ただし特に「オノマトベ」に関しては、それに頼りすぎると「文章水増し」といわれそう。適切なところに「オノマトベ」を取り入れるためには、とても注意深くならないといけないと思います。
  • 「てにをは」は有名なので私も意識していますが、他の2つに関しては全く知りませんでした。しかし文章を書く際には非常に役に立つことだと思うので、しっかりと使い方を覚えて、意識して書いていきたいと思います。
  • 専門的な言葉を理解することがどれだけ重要なのかよくわかりました。何気なく書いていることでもニュアンスが大きく変わることが例えで理解できました。一見すると同じように感じますが、良く見直すと自分も意味合いを意識せず書いていると気づかされました。
  • 日本語を構成する上で主語・述語といった言葉と同様に大事なのは助詞の「てにをは」です。この使い方を少しでも誤ってしまうと全く違う意味の文章になってしまう可能性もあるので、記事作成では十分に気を付けて考えていきたいです。
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