自分で本を出す!自費出版に必要な費用と注意点

自費出版

Webライターの中には文章を書くのが好きで、ゆくゆくは本を出してみたいと考えている方もいるかもしれません。しかし、新人賞などを受賞して出版社から本を出してもらうのはなかなか難しいものです。

そこで、他の手段として考えられるのが、自分でお金を払って本を出してもらう個人出版です。個人出版とはどのようなもので、費用はどのぐらいかかるのかについてご説明します。

出版の種類

そもそも、本を出版する方法には大きく分けて企画出版、共同出版、個人出版の3種類があります。まず、企画出版とは出版社が企画を立てて本を販売する方法です。

前述のように、新人賞を募集して集まった原稿の中から優秀な作品を選んで出版するのは企画出版の一種です。そして、本屋に並んでいる本のほとんどはこの企画出版によって発売されたものです。

出版に必要な費用は出版社が全部負担する代わりに、売れた本の利益は出版社のものとなり、その一部が印税という形で作者に支払われます。

一方、個人出版は自費出版の一種で、出版社や印刷会社などに製本の依頼をし、本を作ってもらいます。費用はすべて作者が負担しますが、売れた本の利益はすべて作者のものになるというメリットがあります。
問題は共同出版です。共同出版もまた、自費出版の一種ですが、個人出版と異なるのは出版に必要な費用を業者と作者が折半する点です。

例えば、単行本1000冊を出版するのに100万円かかる場合は、出版社と作者が50万円ずつ払うことになります。あるいは、製本や印刷代は作者が負担し、広告や流通費用は出版社が負担するという方法もあります。

ただ、いずれにせよ、気をつけなければならないのは本当に負担率が公平であるかどうかです。悪質な業者になると共同出版と称して、自分たちはお金を出したふりをして、実際は作者に全額負担させているケースがあります。それどころか、ひどい場合は流通のための費用まで負担させておきながら、本屋にほとんど本を並べないことさえあります。

したがって、共同出版で本を出す場合は費用の内訳を調べ、それが妥当であるかよく検討することが大切です。

自費出版で本ができるまでの流れ

それでは自費出版で本ができるまでの流れを見てみましょう。まずは原稿です。パソコンで入力したデータや手書き原稿などの本の元になるものを業者に提出します。掲載する写真やイラストなどがあればそれも一緒に出してください。

それから、業者と打ち合わせをして、本のサイズ、活字の大きさ、装丁のデザイン、本の部数、印刷は白黒かカラーかなどといった仕様を決めていきます。その後、業者から見積もりが出されるので、合意に達すれば契約となります。

契約が成立した後は、製本の作業です。業者が原稿を整理し、レイアウトや文字組みを決めていきます。作者がそれを確認し、それで問題がなければ校正をするので作者が再びチェクを行い、その後も二校、三校、色校正と手直しの作業が続きます。そして、すべてOKとなれば印刷と製本の作業に入るわけです。

最後に、定められた場所への納品や国立国会図書館などへの献本、あるいは贈呈先への発送を行います。なお、細かい流れは業者によって異なる場合があるので、事前の確認は必須です。

ちなみに、自費出版した本を書店などの販売ルートに乗せるには、印刷会社ではなく、流通ルートを持っている出版社に依頼しなければなりません。

条件によって大きく変わる自費出版の費用

気になる自費出版の費用ですが、これは本のクオリティや発行部数、印刷を白黒にするかカラーにするかなどの条件によって大きく変わってきます。例えば、A5サイズ、ソフトカバー白黒印刷の100ページの本を1万冊作るのに200万円かかるとして100冊なら100分の1の2万円ですむのかと言えばそういうわけではありません。100冊製本するだけでも20万円の費用が必要な場合もあります。

なぜなら、印刷にかかるコストというものは多く刷れば刷るだけ割安になっていくからです。100冊だけ製本すると原価は1冊2000円ですが、1万冊だと1冊あたり200円ですむわけです。

しかし、自費出版の本を流通ルートにのせてもめったに売れるものではないので、たとえ原価が安くても1万冊も作っては損失が大きくなるだけです。しかも、200万円というのはあくまでも製本代だけなので、そこに流通費用を加えると200万円が300万円になったりします。そのため、1冊あたりの原価と総費用を天秤にかけ、何冊製本するかは慎重に決める必要があります。
さらに、同じ100冊でも、フルカラーのハードカバーにすると本の原価が数倍に跳ね上げってしまうため、本の仕様についても慎重な検討が欠かせません。

いずれにしても、本を作るには高い費用が必要なので、できれば、あらかじめ、複数の業者に見積もりを出してもらい、それを比較した上で依頼先を決めるのがよいでしょう。

本を出す目的とそれに見合った手段

本を出版する前の心がけとして、大切なのはその目的を明確にすることです。

例えば、みんなに読んでもらいたいという動機であれば、電子書籍を使えば今では無料で出版が可能です。本という形にこだわりたいのであれば、安い印刷会社を探して10冊程度を数万円で作ってもらうのもありでしょう。

また、本屋に本を並べて大々的に売り出したいのなら大手出版社が募集している新人賞に挑戦する方が近道です。
自費出版で数千部の本を流通ルートに乗せるのは、通常数百万円の費用が必要ですし、それだけのお金を出しても無名の作者が宣伝もなしにヒットする可能性はほとんどありません。

本を出したいという夢を持つことは素晴らしいですが、何のために本を出すかをよく考えずに手段が目的となっては大きな損失を出してしまいます。本も出す目的をよく考え、その目的に見合った方法を選択するのが賢明です。

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こぶたのまとめ

本を出版する方法を知って将来の夢をかなえよう!

  • 出版方法には、企画出版、個人出版、共同出版の3種類がある。
  • 共同出版を選択する場合は業者が提示した価格が妥当であるか検討が必要。
  • 1冊あたりの本の原価は部数や仕様によって大きく変わる。
  • 前もって複数の業者に見積もりを依頼して比較するのが賢明。

自分の作品を世間に発表するにはさまざまな手段があります。目的をよく考え、それに見合った方法を選択しましょう。

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みんなの感想文

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  • 本の出版方法の一つに、個人出版という形式があることをこの記事を読んで初めて知りました。個人出版は、自身で本を作成し出版するために必要なものを全て揃えなければならないというデメリットがあるものの、売り上げの全てが自分のもとに来るということが特徴なのだと理解しました。
  • 本を自費出版する方法をこの記事を読むことで大変よく分かりました。具体的に金額を提示して説明してくれているので、イメージが掴みやすかったです。また、自費出版でも電子書籍を利用すれば無料で出版ができるという情報は貴重な情報だと思いました。
  • よくわからなかった出版のシステムをざっくりと解説してくださっているので、とても理解しやすかったです。そして、説明のひとつひとつがキリの良い数字を交えた丁寧なものなので、素人の読者にとって大変親切な記事だと感じました。
  • 自分の本を出せたらなと思うときがあります。自費出版できることは、以前から知っていましたが、お金がどれくらい掛かるかなど、よくわかりませんでした。条件によって大きく変わるんですね。いずれはと憧れますが、自分には無理そうです。
  • この記事を読んで参考になったのは、自分の作品を世に出す方法を吟味するというところです。自費で出版をしても宣伝がない以上、売れないことが多いので賞に応募したほうが現実的だというところがとても参考になりました。
  • 「自費出版」と聞くと、非常にハードルが高く、一般の人にとっては手の届かないもののように感じていました。しかし、出版社と作者側で料金を折半する「共同出版」などの方法を用いることで安く済ませることができるというのは驚きです。
  • 自費出版なんて考えたこともなかったので非常に夢のある記事でした。読んでいるだけでワクワクしてくる内容でとても面白かったです。また出版と言うと難しそうですが、意外と簡単に行えることも分かりました。いずれ機会があればやってみたいですね。
  • 実際に本を出す過程を書かれているので、本を出したいなと思っている人には凄く役立つ記事だと思います。将来自分も本を出したいなと思っているので、この記事を参考にしてこれからスキルをしっかりと増やしていきたいと思いました。
  • 本を出す過程やそれに関わる事は理解できましたが、こうした願望をもっているのは少数の人に限られており、あまり一般的な感じを受けませんでした。「書く」という事についてより身近な方法の方が、多くの人に訴えるのではないでしょうか。
  • とても参考になりました。私自身は、個人出版をするほどの実力を持ち合わせていませんが、知識として覚えておきたいと思います。気になったのは、良心的な業者ばかりが携わっていることではない点です。業者選びも重要なのですね。
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