ライター業の未来と、我々ライターが成すべきこと

以前執筆した記事にて「AIの進化によってライター業は消え去る」といった内容について触れました。現在では多言語対応の記事執筆AIは既に登場しており、アメリカでは実績も作っているのが現状です。あくまで予想の範疇ではありますが、ライター業に留まらず他の多くの職業も将来的にAIによって奪われる可能性はないとは言い切れません。そこで、将来のライター業はどうなっているのか、またライター業が生き残るためにはどうすればいいのかについて予想を交えて解説していきます。
ライター業の種類
ライター業は大きく3つに分けられます。
コピーライター
業種としては広報であり、商品やコンテンツの広告を作るのが仕事です。「キャッチコピーを考える人」というイメージが大半だと思われますが、短いフレーズのキャッチーなもの(コピー)の他にも本文(ボディコピー)ももちろん考えます。形態としては広告会社で働いている人もいればフリーでやっている人もいますが、どちらも取材活動を伴う場合があり、発想力と行動力が求められるのが特徴です。代表的な人だと作家としても活動している糸井重里氏などがそれにあたります。
ルポライター・ジャーナリスト
現地取材によって得た情報をもとに記事を執筆する仕事です。戦場カメラマンで話題になった渡辺陽一氏もこれにあたり、彼の場合はジャーナリストとなります。ルポライターとジャーナリストの違いは「自身の見解」を加えているかどうかであり、見解を加えずに事実のみを執筆するのがルポライターです。それに対しジャーナリストは自身の見解を交えて記事を執筆します。話題になりやすいには危険を省みずに世界の紛争地帯などに向かう者ですが、どの地域であっても活動に違いはありません。
Webライター
私たちのようにWeb上で活動するライターです。サイトやブログなどに掲載する文章を執筆するのがメインであり、業務内容の多くはキュレーション(ネットや書籍から得た情報をまとめて記事にすること)になります。敷居が低いため誰でもなれますが、そのぶん報酬も低めで独自性もあまりありません。
3種類のライターの中で生き残るのは?
まず「生き残るために必要なものはなんなのか」について触れます。
- 独自性がある
- 実際の行動力が求められる
- データ化できない要素がある
主にこの3つの要素が重要になると思われます。どれもAIにはできないことです。そして結論から言うと、最も生き残る可能性が低いのはWebライターです。私たちWebライターにも独自性のある文章は求められますが、業務の大半を占めるキュレーションは既にある情報を噛み砕いたものでしかありません。情報そのものに独自性はなく、わかりやすいかどうかの違いのみが存在します。更に活動がネット媒体ということもあり、そこはAIの独壇場とも言えます。しかし、コピーライターとルポライターは発想力や行動力が求められる業種であり、それはAIには不可能な領域です。
ライター業の行く末と成すべきこと
昔は新聞や雑誌といった紙媒体のメディアが主流でしたが、それらは電子化の波に押されて現在は廃れつつあります。取材活動を伴うルポライターを抱える雑誌社も、現在はその数をかなり減らしています。更にTwitterをはじめとしたSNSの発達によって一般人でも情報の発信が可能になったために、報道や広報は職業としてのアイデンティティを失いつつあるのも事実です。震災で現地リポートしている報道ヘリが現地人の邪魔になったり、彼らの視聴率稼ぎのために手段を選ばない行動を目にするたびに私たちの意識はそういったメディアへの不信感をつのらせる結果となっていきます。やろうと思えば一般人でも取材と情報発信が可能なのが現代社会です。そういった意味ではジャーナリストの必要性も薄れつつあるのかもしれません。戦地へ赴くジャーナリストに対しても「自己責任」について度々議論があり、必要性はあってもその行動の価値については疑問視されます。
そして本題ですが、我々ライターは将来のために何をすればいいのかです。
- 幅広い知識と宣伝力を身に付ける
- 自身のメディアを持つ(ブログやサイトなど)
- 自分にしか出来ない分野を開拓する
1に関しては言ってしまえば当たり前のことです。特に言及することはありません。2については「自身に価値を付ける」ということです。「大量にいるうちの一人」では他の人でも代用できてしまうので競争力が弱くなります。ライターとしてよりも個人として見て貰えるようになれば、それは大きな資産になります。3についてはどの分野が正解かはわかりません。しかし、自分にしか書けないような記事が書ければ、その分野は独占できます。
現在のライター業の形態が廃れる結果になったとしても、全てのライター業がAIに奪われるとは考えにくいです。その未来では今とは違ったカタチのライターが活躍しているでしょう。全ての人がフリーランスのライターとなり、自分で書いた記事を好きに売ることが出来る社会になっている可能性もあります。私たちがするべきことは「自分にしか出来ないこと」の開拓であり、そのオリジナリティは唯一無二の武器となります。AIが日々進化しているのならば、私たちも日々進化しなければならないのです。
こぶたのまとめ
- 「自分にしか書けない」と自信を持って言える分野を開拓しよう。
- 何事も行動力が大事。何でも貪欲に吸収しよう。
- 発想力は経験からも生まれる。色々な経験をしよう。
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みんなの感想文
はい・・・9人 / いいえ・・・1人
- AIの進化によってライター業は消え去ってしまう、というのは衝撃的でした。そこまでAIの進化が進んでしまっていることは全く知りませんでした。ライターとして生き残るには自分にしか書けない分野など強みを持つこととオリジナリティが特に重要になってくることを理解することができました。
- 私はまだ「文末表現が違います」「文章がわかりづらいです」などという初歩的な指摘をいただいている段階なので、語彙力のための本格的な勉強はまだ早いのかもしれませんが、文章を読むことは意識してみようと思います。基本的なことが身に付いたらおすすめの本を読んでみたいです!
- ライターにもここまで様々なタイプのお仕事があるとは思わず発見だったし興味深かったです。しかしどのタイプもオリジナリティーがあり情報をしっかり取捨選択することが重要で、自分も参考にして今後より一層頑張っていきたいです。
- 拝読することができて本当に良かった記事だと思いました。コピーライター、ルポライター、WEBライター、それぞれについて詳しく知ることができましたし、将来に向けて自分はどうすべきか、深く考えるきっかけになりました。
- 将来、ライターがAIにとって代られるかもしれない、という課題に対する解決策が一般論の範疇を出ていません。また、幅広い知識や洞察力を身に付けたり、自分にしかできない分野を開拓するとありますが、具体的な記述がなく、参考になりません。
- ライターにとってAIの出現、進化は脅威であると筆者は書いていますが、とても説得力があります。特に、Webライターが生き残る可能性は低いという記載も衝撃的でした。ただし、「自分にしかできないこと」を開拓することでライターが生き残っていけるということも確かだと思うので、私自身も日々精進していきたいと考えています。
- AIの登場によって、一層オリジナリティのあるライティングが求められていると感じました。スマホの浸透とそれに伴うSNSの普及で、気軽に文章を作成、発信しやすくなりたくさんのライターが誕生しています。その文章をいかに陳腐化させないか、個性や訴求力のあるものを生み出せるかが大切になってくると思います。
- AIにライター業が奪われてしまうということは考えたことがなかったので、驚きました。いろいろな可能性を常に意識して、ライターとしてもレベルアップしていかなければならないなと思いました。独自性を身に着けられるようになりたいです。
- 偶然、AIが代行するようになる仕事についての話題を、身近な人達と話し合ったばかりだったこともあり、たいへん興味深く読みました。ウェブライターが書く種類の文章作成はAIの得意分野なので、彼らには真似出来ないオリジナリティを伸ばしていく必要があるのですね。文章に限らず、すべてにおいてオリジナリティは重要性は高まるのでしょう。
- AIの進化がどれ程なのか、もはや人間の考えが及ぶ域はとうに過ぎていて、AIだけが生息する世界が存在しているのかもしれない、と思う事があります。しかし文明の進化と共に人類もまた進化してきました。AIにより多くの事柄に対して自動化が進み、様々な職業に影響を与えると言われていますが、ヒト一人一人が能動的かつ自発的に進化を目指し、すべてのヒトが退化を選ばない限り、まだまだヒトは進化し続けると思います。