言葉の森で迷子にならないために!長い文章を書く際の注意点

文を書くという行為自体は誰にでもできます。普段日本語をしゃべっているわけですから、それを形にすればいいだけです。しかし、文章を書くとなれば、難易度は一気に跳ね上がってしまいます。それも、文章が長くなればなるほど、論旨は乱れ、通して読んだ時に何を言いたいのかが分からなくなってしまいがちです。

日常での会話では、相手のリアクションに短い言葉で反応しているだけで、演説のような長台詞を口にすることはまずありません。文と文を論理的に繋げていく訓練を日常的にしているわけではないので、文章を書くのは、難易度が高いのです。そこで、ライターを目指している人のために、相手に意図が伝わる文章を書くための注意点について解説をしていきます。

 文章の森で迷子にならないためのルート図

長文を書く際に、全体の構成を考えずに書き始める人がいますが、それは地図を持たずに深い森に入っていくがごとき行為です。勢いに任せて書いている内に道筋を見失い、文章のゴールがどこにあるのかが分からなくなってしまいます。長い文章を書く上で大切なのは、あらかじめ全体のルート図を作成することです。話がどこから始まって、どこを経由し、最終的にどの場所にたどり着くかを箇条書にするのです。

小説の構成には、起承転結がしばしば用いられますが、コラムなどの記事は、一般的に序急破が用いられます。序とは、文章の書き出しであり、コラムではここに問題定義とそれに対する結論を持ってきます。

小説と違い、コラムの目的は、必要な情報を読者になるべく分かりやすく説明することです。それ故、最初に結論を提示して読者の頭の中にインプットさせるのです。そして、破では序で提示した結論の根拠を述べます。根拠はひとつだけではなく、複数用意すればより説得力が増すでしょう。

そして、コラム記事において急に相当するのがまとめです。最初に提示した結論の正しさを踏まえた上で、もう一歩進んだ提言を行います。以上に基づいてルート図のフォーマットを作成すると以下のようになります。

1.序文(問題定義)

2.問題定義に対する結論

3.結論の根拠A

4.結論の根拠B

5.結論の根拠C

6.まとめ(結論を踏まえた上での提言)

この1~6に(もちろん、根拠の数は記事の内容によって変わってきますが)、書こうとしている記事の内容を箇条書きでまとめれば、ルート図の完成です。これを常に意識しながら文を書いていけば、文章があらぬ方向にそれていくことはないでしょう。

上手く文章が転がらない場合はまとめから書いてみる

ルート図を作ってから文章を書くと、最初の意図から大きくそれる恐れはなくなりますが、どうにも筆が進まない場合があります。それは、おそらくゴール地点が明確に見えてないからです。全体の流れは決まっていても、着地点がぼやけていると切れの良い文章は書けません。

そんな時は、まとめから先に書いてみるのもひとつの手です。締めの言葉をはっきりとした形にしておくと、ルート図片手に霧の森を恐る恐る進んでいたようなもやのかかった意識がクリアになり、一気呵成に文章を書けるようになります。

下書きを見直す際のチェック項目

文章が完成したら必ず見直しが必要です。誤字脱字はもちろんですが、それ以上に大切なのが文同士のつながりに関するチェックです。文章全体の流れはルート図通りに書けていたとしても、文単位で前後のつながりを見てみると、意味が飛躍している場合があります。文をゆっくりと読んでいって意味が通らない箇所がないかを確認しましょう。同時に、同じ言い回しの文の繰り返しになっていないかも、チェックしてください。例えば。以下のような文章です。

『私は待ち合せの場所に時間通りに行ったが、そこにはA氏はいななかった。そこで、携帯電話で連絡をとったが、つながらない。しかたなく、家に尋ねて見たが、留守だった』

このように、「~だが、~だ」という表現が続いていると読み手は単調に感じてしまいます。それを避けるために、言い回しに変化をつければ、リズム感が生まれて文章がぐっと読みやすくなります。

さらに、同じ単語を多用しすぎるのも、文章を単調にし、分かりにくくする元です。その単語が記事の主題でないのなら、ネットで類語を調べるなどして、他の言葉で置き換えられないかを検討してみましょう。

 常に全体の構成を意識して書くのが重要

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、最初から文の細かい部分に囚われては、良い文章を書くことはできません。

まずは、全体の構成を考えてそれを箇条書きにした後は、そこから外れないことだけを考えて一気に最後まで書いてください。細部は下書きが終わった後でゆっくりと見直せばよいのです。その手順に慣れれば、長い文章でも以前と比べものにならないほど書きやすくなります。繰り返して実践し、体に染みつかせてしまいましょう。

こぶたのまとめ

長い文章を書く際の注意事項

  • 序破急に基づいて全体の構成を考え、その内容を箇条書きでメモする
  • 箇条書きの内容を意識しながら文章を一気に最後まで書く
  • 筆が進まない場合は、まとめを先に書くのもあり
  • 下書きを書いたら、文と文のつながりがおかしくないかをチェック
  • 同じ言い回しや同じ単語が続いていないかもチェック

構成→下書き→細部のチェックという具合に先に全体を決め、段階的に細部を仕上げていくのが、長い文章を書くコツ

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みんなの感想文

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  • 正直これまで、何も考えずに文字数を稼ぐことだけ考えて記事を書いて来ました。全体のイメージを固めてから書き始めることが大切なのですね。うまくいかない場合は、まとめから書いてみるという手法は自分も試してみたいと思いました。
  • 私は今まで全体の構図を考えず「とりあえず書き始める」というスタンスだったので、見直した方がいいなと感じました。また、同じ単語を多用する傾向があったので、同義語や類義語を調べて置き換えるといったコツも参考になりました。
  • 長い文章を書くにあたって起承転結は大切にしたいなぁと思いました。文章が中々まとまらないときは最初にまとめから書くなど参考にしたいテクニックばかりで今後のライターの仕事に活かせそうで本当に為になりました。
  • ライティングの仕事は、あまり長い文章は避けた方がよいのかと思っていましたが、わかりやすい内容ならば長文でも読む人に伝えられるのだと思わせてくれた記事でした。コラムを書く際のルートズも参考になりました。
  • ライティングをする際に実際にどのように書けばよいのかわからなくなってしまうことが多々あるので、この文章は大変ためになった。特に序急破のくだりはわかりやすかった。文章を書くのを森の探索に例えているのもわかりやすくしている要因だと思う。
  • 文章を書く上でのルートがわかるので、物凄く参考になりました。どういう風に書いていけばいいのかわからない事が多いので、具体的に方法を教えてくれたのは凄く助かりました。見直しをしなければならない理由も納得が出来ました。
  • 私は長文を書くのが苦手なので、この記事はとても参考になりました。特に序破急に基づいて全体の構成を考えるというポイントが実践的で今後長文を書く時に取り入れてみようと思います。長い文章を書くコツがとてもよくわかりました。
  • 長文を書く時に何が書きたいのか分からなくなってしまうことがよくあるので、ルート図を作ってから文章を書くのが良いと分かり参考になりました。これからは読者に意図が伝わる文章が書けるように全体の構成を考えながら記事を書こうと思います。
  • 長文を書く手順が具体的に解説されており、長文が不得意な私にとって、とても有益な記事でした。これを参考に、少しずつでも長文を書くスキルを身につけていきたいと思います。「まとめから先に書いてみるのもひとつの手です」というのも、参考になりました。
  • 私は文章を書くことが苦手で学生の頃の読書感想文や小論文などは避けてきました。しかし、現在の仕事では文章を書くことが多く、自分の行なってきた成果を上司や同僚に伝えるために必要なスキルであると感じています。今回読んだ記事を読んだ際にわかりやすい記事の書き方、組み立て方がわかったので参考にします。
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