『スタンフォードの自分を変える教室』ー出世も寿命も「意志力」が決める

出世も寿命も「意志力」が決める

目標を達成できない理由として最も挙げられる理由が「意志力」です。しかし、意志力を強化しようとするさまざまな従来のアプローチは、どうやら科学的に間違っていることが明らかになってきました。

スタンフォードの自分を変える教室』は、心理学、脳科学、経済学など最新の科学的検証から意志力を解剖し、実践的な戦略を授けてくれます。「タイム」誌も絶賛し、世界的なベストセラーとなった本書を読むことで、ビジネスや日常生活を変えるアプローチが得られるでしょう。

スタンフォードの自分を変える教室

「奇跡の授業」を受けられる

本書は、著者ケリー・マクゴニガルがスタンフォード大学において講義した「意志力の科学」をベースにしています。この講座はまたたく間に指折りの人気講座となり、スタンフォード大学の最も大きな講堂が、学生・企業のトップ・医者・スポーツ選手らで埋め尽くされたといいます。

「どうしたら悪い習慣を捨てられるのか」「どうすれば目標のために意志を貫けるのか」などは、誰しも関心のあるテーマです。本書では、心理学・経済学、神経科学、医学の各分野における意志力に関する最新の見解を取り上げています。今まで抽象的に捉えていた意志力の考えが根本的に変わるはずです。

また、実践的な行動につなげる戦略を授けてくれるのも本書の魅力です。本書では「お菓子の代わりにナッツを食べる」「快感の誘惑に負けてみる」などいろいろな課題が与えられるので、実践してみると新たな発見があるでしょう。

4週間の講義を受けた後のアンケートでは、実に84%の人が意志力の向上を経験しています。まさに「奇跡の授業」を受けられると評判になったのが本書です。

著者は「健康心理学者」

著者のケリー・マクゴニガルはスタンフォード大学で、医学部健康増進プログラムを担当しています。専門は「健康心理学」という分野です。つまり、心理学者であり教育者でもありますが、いかにストレスと上手に付き合い健康的な生活を送れるか、ということを実践的に探究し、教えているところに特徴があるといえるでしょう。

本書のテーマである意志力も、この視点から捉えられており、わかりやすく具体的な内容になっています。本書の他には「思いやりの科学」や「マインドフルネスの科学」などの講義も行っており、新進気鋭の心理学者として注目を集めています。

観察力と具体的な戦略が学べる

本書の目的は、意志力を向上し、人生をより良い方向へ変えることです。そのために、意志力とは何か、意志力と本能の関わり、脳が仕掛けてくる罠などについて語ってくれます。特徴的なのは、各テーマの構成が3部構成であることです。

まず、著者が科学と実践に基づいた見解を興味深く解説してくれます。次に「意志力の科学者」となるための課題が与えられます。1つ目は「マイクロスコープ(顕微鏡)」とよばれる項目です。これにより、著者が説明した見解が確かに現実にあてはまることを観察できます。2つ目は「意志力の実験」という課題です。これは、理論や見解を具体的に実生活に適用し、意志力を強化するための課題です。

たとえば、「モラル・ライセンシング」はしようと考えただけで、した気になってしまうという理論です。この理論が正しいことを確かめるために「やることリスト」を作ることによって、いかにやる気がなくなるか科学的に自分を観察します。そして、「なぜ」意志力を使って努力をしているかを明確にすることで、意志力がどう変化するのか、自分で実験を行います。

刺激的な見解も満載です。たとえば、ファストフードにサラダが付いているとハンバーガーの注文量が増えるという統計結果は、サラダによって免罪符を与えられたと勘違いした意志力が引き起こしています。また、快感物質といわれるドーパミンは、実は幸福感をもたらさないという事実などです。本書の興味深くも刺激的な見解、そして2つの実践課題を通じて、意志力を上手に使えるようになるでしょう。

意志力を科学的にアプローチしてみる

著者によると、意志力は人生全てに関わりを持ちます。ビジネスの成功、勉学、健康、寿命なども意志力が決めるといっても過言ではありません。かつて、動物に対し人間が優位に立てた大きな要因のひとつは意志力です。今や意志力の差は人間同士の優劣を決めています。他人と比較しなくとも、意志力があれば、健康でストレスをコントロールでき、パートナーと良好な関係を保てるでしょう。

意志力を科学的にアプローチした本書を読めば、エクササイズのように正しい意志力の鍛え方が学べるはずです。「意志力は筋肉に似ている」「限界を感じるのは脳にだまされているだけ」「よいことをすると悪いことをしたくなる」など漠然と感じていたことが明確になるでしょう。本書で「意志力の科学者」そして実践者になってみてはいかがでしょうか。

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