言葉の力を磨けばアイデアは無限に生まれる『ザ・コピーライティング』

言葉の力を磨けばアイデアは無限に生まれる『ザ・コピーライティング』

「言葉の力」を磨いていくのは、何も文章のプロだけにかぎらないものです。会社勤めであればビジネスメールやプレゼンテーション、企画書の作成などで「より分かりやすく相手に伝える」といったことは求められます。副業やフリーランスの立場にあっても、商品や自分を売り込むときに言葉の力は欠かせません。

ジョン・ケープルズ著『ザ・コピーライティング』(ダイヤモンド社)は広告の本であると同時に、コピーライティングを通じた言葉の力について紐解いているものです。言葉の力を磨いていく大切さを教えてくれる本書について解説します。

読み手を惹きつけるには「訴求」が大切

訴求はベネフィットとも呼ばれるものであり、読み手が思わず「これは自分のことを言っているのだろうか?」と感じてしまうポイントのことを指します。

文章で誰かを説得しようとするときには、ついメリットばかりを並べてしまうこともあるでしょう。しかし、読み手が興味のない商品やサービスのメリットをいくら語ったところで、反応は薄くなってしまいがちです。本書は訴求について一章分を丸々割いて解説をしており、コピーライティングにおける訴求の大切さを強調しています。どんなものを売ろうとしたりアピールしたりするにしても、ターゲットとなる相手のことが見えていなければ始まりません。訴求を考えれば考えるほど、「相手が何を求めているのか」といった点が明らかになっていくものです。

本書では良い訴求と悪い訴求の具体例をあげつつ、さらに具体的な訴求と一般的な訴求についても言及しています。広告においてもっとも大事な部分を丁寧に解説しているため実践的です。普段から広告や営業の仕事を行っている人だけでなく、相手に何かを伝えるという部分はあらゆるビジネスシーンで必要となるものでしょう。本書は普段何気なく使っている言葉の伝わり方をしっかりと解説してくれています。

友人に手紙を書いているかのようにコピーを書く

他人に何かを伝える仕事をしていれば、言葉について深く考えるのは大切です。しかし、あまり深く考えすぎてしまうと文章が硬くなってしまい、かえって伝わりにくいという面も出てくるでしょう。本書では書くネタがなくなってしまったときには、友人に手紙を書いているかのようにコピーを書くことを推奨しています。

「ターゲットが誰なのか分からない」といったときは、普通の人々を意識しすぎてしまっていると本書は指摘しているのです。何を書こうか迷ってしまったときは、あえてターゲット層のことを意識せずに、身近な友人に手紙を送る感覚で文章を書いてみましょう。自分の身の回りに起こった出来事を相手に聞いてもらおうとすれば、自ずと5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どのようにして・どうなった)を駆使するものです。特定のテーマで文章を執筆するときは、会話の流れを組み立てるように、文章の流れを組み立てることの大切さを本書は教えてくれます。

さらに、広告の作成における誰もがぶつかる問題を避ける方法や広告テストのやり方など、実践的な内容が本書にはたくさん盛り込まれているのが特徴的です。豊富な事例が紹介されているので、文章制作に行き詰ったときに何度も読み返せるだけのボリュームがあります。

心の琴線にふれる言葉には法則がある

同じ単語を使っていても、文章の組み立て方次第で伝わり方も自ずと異なってくるものです。また、そもそも伝えるべき相手のことが見えていなければ、どんなにメリットを強調しても目立った反応を得られないでしょう。

『ザ・コピーライティング』は広告にまつわるエッセンスを網羅的に示した本です。1つ1つの基礎技術を身に付けていけば、どのような職業についていたとしても役立てていくことができるでしょう。「プレゼンテーションが苦手」「シンプルに文章がまとめられない」といった悩みを抱えている人にとって、本書は多くのヒントを与えてくれるものです。

過不足なく自分の考えを伝えるためには、言葉の力を磨いていくのが欠かせないといえるでしょう。本書を繰り返し読んでいけば、自分なりの思考パターンが生まれ、アイデアが次々と湧いてくる流れをつかめるはずです。

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