源泉徴収されたお金が戻ってくる!在宅ライターの確定申告
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在宅ライターとして原稿料を受け取った際、源泉徴収分として一定の金額が差し引かれますよね。
源泉徴収は本来個人が収めるべき所得税を、依頼主が代わりに払ってくれるという制度です。そして、払ってもらった金額については、当然原稿料から差し引かれることになります。
ただ、この源泉徴収には問題点もあります。それは、実際に収めなければいけない所得税の金額よりも多めに徴収されるケースが多い(概算で算出するため)ということです。
源泉徴収で払いすぎてしまった所得税については、確定申告という手続きをすることで返してもらうことができます。
そこで、この記事では、源泉徴収で払いすぎたお金を返してもらう方法や、確定申告の準備・手続きについて解説します。
原稿料から引かれる源泉徴収とは?
源泉徴収といえばライターだけではなく、会社員の方にもおなじみの仕組みですよね。毎月の給料から源泉徴収分が引かれていることに気づいた人も多いのではないでしょうか。
ところで、そもそも源泉徴収とはいったいどんな仕組みなのでしょうか。この段落では、源泉徴収の仕組みについて解説します。
源泉徴収とは
私たちは誰かのために労働を行うと、報酬や給与といった形で対価を受け取ることになります。
なお、給与も報酬も労働に対する対価という意味では同じです。しかし、給与と報酬には以下のような大きな違いがあります。
- 給与…雇用契約を結んでいる雇用主から支払ってもらうお金(会社からもらう給与など)
- 報酬…雇用契約を結んでいない場合に支払われるお金(業務委託で働いたときにもらえる報酬など)
つまり、誰かの従業員として働いたときにもらえるお金が給与、そうでない場合は報酬ということになるわけですね。
そして、これらの収入から必要経費などを差し引いた額を所得額といい、そこから私たちは所得額に応じた所得税を支払うことになります。
日本の場合、所得税の納付については、自分で税金額を計算・申告して納税するのが基本となっています(申告納税方式)。
しかし、実際問題として、全日本国民に対して申告納税を求めることは事務処理上の都合などの問題からあまり現実的とはいえません。そこで、より効率よく徴税するために活用されているのが、源泉徴収という仕組みです。
源泉徴収とは、給与の支払者が給与や報酬などを支払う際に、あらかじめ所得額から税金分を差し引き、個人の代わりに定期的に国に収める制度のことをいいます。
源泉徴収額は報酬額によって一律で決められており、報酬額の10%程度が目安です(※1)。
差し引かれた源泉徴収税は実際に必要な納税額より多くなることがあり、その場合は年末調整(給与の場合)や、確定申告(報酬その他の場合)といった手続きをすることで戻ってきます。
源泉徴収された税金が還付される理由
払いすぎた源泉徴収税を返してもらうことを還付といいます。
先に述べたように、源泉徴収税額は概算で計算されるため、実際に支払うべき税額より多くなることがしばしば起こります。
具体的には年間の所得税の実際の金額が、源泉徴収で収めた金額の合計よりも低かった場合などがあてはまります。
こうしたケースについては、所定の手続き(確定申告、年末調整)を経ることで払いすぎた分の税金が還付されます。
過不足分を調整するには
源泉徴収税の調整は、年末調整および確定申告で行われます。
このうち、年末調整は雇用契約を結んでいる場合に事業主によって行われるもので、給与所得を得ているサラリーマンやフリーターなどが対象となります。
この点、個人事業主である在宅ライターの場合、原稿料は給与ではなく報酬という形で支払われます。したがって、当然のことながら年末調整は行われません。
ライターが原稿料の源泉徴収分を調整するには、確定申告が必要となります。
確定申告の結果、最終的に納めた税金が多すぎたということになれば、そのぶんが還付金として戻ってきます。
確定申告で源泉徴収分を調整しよう!
在宅ライターして働くうえで、確定申告に関する知識は欠かせません。
源泉徴収分の調整をするためにも、所得税の未納を防ぐためにも、制度の概要や正しい手続きを行うためのポイントについて知っておきましょう。
確定申告とは
確定申告とは、所得にかかる税金額の計算、税務署への申告といった納税に必要な手続きのことをいいます。所得税は納税者が自分で納めるというのが原則でしたよね。
したがって、納税時には各個人が自分で所得税の金額を計算し、税金を納めに行かなければなりません。そこで、確定申告により、その年の収入や経費などをもとに所得を計算し、それに基づいて作成した申告書を税務署へ提出する必要があるのです。
会社員の場合は、給与所得の部分については会社の年末調整により所得税が調整されますが、在宅ライターの場合は年末調整がありません。そのため、本業・副業問わず確定申告を行う必要が出てきます。
確定申告が必要な在宅ライター
ただし、すべての在宅ライターが絶対に確定申告を行わなければならないというわけではありません。
基本的に確定申告をしなければならないのは、在宅ライター業で一定以上の収入を得ている人に限られます。
確定申告が必要となる所得金額については、本業としている場合と副業の場合で異なります。
ライターを本業にしている人であれば、在宅ライターとしての所得を含めた事業所得(ライター業など事業主として得た収入)が年間合計38万円を超える場合は確定申告が必要です。
一方、給与所得を得ている人が、副業としてライターをしている場合は、在宅ライターの所得を含めた副業所得が年間合計20万円を超える場合に確定申告が必要となります。
さらに、源泉徴収分の還付を受ける場合も確定申告が必要です。その場合には、ライターとしての所得に関係なく確定申告を行うことになります。
白色申告・青色申告とは?確定申告の種類
確定申告には、実は白色申告、青色申告という2種類の申告制度が用意されています。
どの申告制度を利用するかで、申告時の手続きの複雑さ、実際の課税額が変わってきます。確定申告で失敗しないためにも、白色申告と青色申告の違いについて押さえておきましょう。
白色申告とは
白色申告とは、青色申告よりも簡易な方法で税金を申告できる制度です。白色申告の特徴は、複式簿記で帳簿付けを行う必要がないことです。複式簿記とは、取引を複数の勘定科目で記載することをいいます。
ちなみに、勘定科目とは収入や支出の内訳を適切に記録するために使われる分類のことです(たとえば支出であれば、交際費、交通費など)。
複式簿記による帳簿付けは複雑で、正確な記載を行うためには簿記の知識や専門の会計ソフトが必要です。そのため、複式簿記が必須の青色申告は、一般人にとってはややハードルが高いという側面がありました。
しかし、白色申告では複式簿記をつける必要がなく、簡単な帳簿付けでも申告可能です。
青色申告をする旨を特に申告しない限り、自動的に白色申告が適用されます。白色申告にする場合は、特に事前に税務署へ届け出る必要はありません。
青色申告とは
青色申告は厳密な会計帳簿を作成する必要がある代わり、さまざまな特典を受けられる申告制度です。
複式簿記による帳簿付けが必要になりますが、そのかわり特典を受けられます。主な特典としては次のようなものがあります。
- 青色申告特別控除(所得税の課税対象となる収入から、最大65万円を差し引くことができる)
- 純損失の繰越控除(赤字を3年間繰り越せる)
- 青色事業専従者給与(事業を手伝ってくれた家族の給与を経費にできる)
- 少額減価償却資産の特例(30万円未満の償却資産については一括で必要経費にできる)
結果的に課税額が白色申告のときよりも少なくなることが多く、特に一定額以上の所得のある人にとってはメリットが大きい申告制度です。
白色申告とくらべてやや帳簿付けが面倒になりますが、会計ソフトを使えば意外と帳簿付けは難しくありません。ある程度ライター業で稼ぐ予定がある人なら、挑戦する価値はあるといえるでしょう。
青色申告をするためには税務署への事前申告が必要です。
青色申告をしたい人は前年の3月15日まで、新規開業の場合は開業日から2ヵ月以内に、管轄内の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
どちらを選ぶべきか
青色申告、白色申告どちらを選ぶべきかはケースバイケースといえます。
青色申告には青色申告特別控除などの特典があるため、課税の対象となる所得の額が白色申告をしたときに大幅に少なくなる可能性があります。したがって、月収で10万円を超えるなど所得の金額が大きい場合は青色申告のほうが節税対策になります。
その一方で、青色申告には帳簿付けが大変というデメリットもあります。月に2、3万円程度お小遣い稼ぎができれば十分といったような人や、所得がある程度あっても複式簿記の帳簿付けが面倒な人はあえて青色申告の申請をしないという選択肢もありえるでしょう。
確定申告の準備をしよう!所得や経費の計算
確定申告では、まず課税対象となる所得の金額を求める必要があります。この段落では、所得額の計算に必要となる知識について説明します。
所得額を計算する
所得税の対象となる所得はいくつかの区分に分けることができますが、そのうち在宅ライターの所得は、事業所得に分類されます。
基本的に事業所得の金額については、収入から必要経費を引くことで求めることができます。さらに、青色申告の場合は、その金額から最高65万円の青色申告特別控除額を引いたものを事業所得とすることができます。
したがって、青色申告の場合の事業所得は、収入から必要経費と青色申告特別控除を引いた金額ということになります。
ちなみに、在宅ライターにとっては源泉徴収される前の原稿料が収入に相当します。源泉徴収分が引かれたあとの金額ではありません。実際に事業所得額の計算を行う場合には注意してください。
経費を計上する
正確に事業所得の計算をするためには、経費の処理が欠かせません。経費とは事業にかかった費用のことを指しますが、実際にかかった経費が経費として認められるためには決められたルールがあります。
ここでは、在宅ライターが計上できる経費の内容や、経費処理に必要な書類などについて解説します。
在宅ライターが計上できる経費
事業所得では、事業を行うのに必要な費用を「経費」として収入から差し引くことができます。つまり、経費が多くなるほど課税対象となる所得の額が減り、結果的に所得税も減るということになるわけです。
在宅ライターが経費として計上できる費用の具体例としては、次のようなものが挙げられます。
- 文章執筆に必要な道具の購入費(パソコン、プリンター、PCソフトなど)
- 消耗品の購入費(ノート、ペン、コピー用紙など)
- 資料代(書籍や新聞、雑誌などの購入費用)
- 電話代やネット料金などの固定費(ただし、プライベートと兼用している場合には、プライベートの利用分を差し引いて計算している必要がある)
- 取材や研修のための交通費やガソリン代
領収書の保存
使った費用を経費として計上するためには、必ず領収書が必要です。これには不正な経費計上を防止するという意味合いがあります。領収書のような支払いを証明できる証拠がない出費については、経費にすることができません。
経費に計上した費用の領収書については、青色申告の場合で7年間、白色申告の場合で5年間の保管義務があります。また、領収書は原則紙の形で保存する必要があります。
ただし、書類の形式については必ずしも領収書という形にこだわる必要はありません。支払いを証明できる証拠となるような書類であれば、領収書以外の書類も経費処理の際に使うことが認められています。
領収書以外の経費処理に使える書類としては、レシート、ウェブ上の取引画面を印刷したもの、クレジットカードの明細書、ATMなどの振込明細書といったものがあてはまります。
領収書がない場合の証明方法
支払いの証明には、基本的に領収書が必要です。しかし、支出の内容によってはもともと領収書がもらえないというケースもあります。このような領収書がない場合については以下の方法で証明することになります。
結婚式や葬式といった慶弔関係の出費については、金額や相手先、取引内容、取引日付を記載した出金伝票を作るとともに、招待状・案内状のコピーを保存しておきます。ちなみに、出金伝票については、市販されている出金伝票に必要事項を書き入れるだけで作成できます。
電車やバスの運賃については、日付、目的地、業務内容、ルート、運賃などを記載した出金伝票を作って管理します。月ごと、週ごとにまとめて表を作って管理してもOKです。
また、口座振替やクレジットカード払いといった支払い方法を利用する場合には、通帳の写しや口座振替のお知らせ、カード利用明細書といったものが証拠書類として使えます。
在宅ライターの確定申告で提出が必要な書類
確定申告では、確定申告書をはじめとする各種書類を税務署に提出する必要があります。ここでは、確定申告で提出しなければならない書類や添付すべき書類について紹介します。
提出する書類
確定申告における提出書類は以下のとおりです。
まず、青色申告・白色申告ともに確定申告書を提出する必要があります。確定申告書については、国税庁のホームページまたは税務署で入手が可能です。
また、収入や支出について報告するための申告決算書も必要になります。
【白色申告の場合】
・収支内訳書
その年の収入や売上、かかった経費などを記入します。
【青色申告の場合】
・青色申告決算書
白色申告の収支内訳書よりも記載すべき内容が細かいのが特徴です。損益計算書、損益の内訳の記入書(2枚)、貸借対照表の合計4枚の書類を作成しなければなりません。
そのほか、添付書類台紙も必要です。添付書類台紙は、申告時に必要となる添付書類を貼り付けるための台紙になります。
添付する書類
確定申告では申請書や決算書といった提出書類のほかにも、添付するべき書類があります。
添付するべき書類としては、以下のようなものが挙げられます。
1つ目は本人確認書類のコピーです。確定申告書を提出する際には本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。マイナンバーカードのコピー、あるいはマイナンバーカードを確認できる書類(マイナンバー通知カード)と身元確認書類(運転免許証やパスポートなど)のコピーを添付します。
2つ目は、勤務先で発行された源泉徴収票です。これは給与所得者が副業でライター業をする場合に必要になります。
3つ目は、所得控除を受けるために必要な書類です。年末調整をしておらず、かつ支払った社会保険料などがある場合にはそのぶんのお金を収入から差し引くことができます。
所得控除に関連する書類としては、社会保険料・小規模企業共済等掛金控除関係書類、生命保険料控除関係書類、地震保険料控除関係書類、寄付金控除関係書類といったものがあてはまります。
いよいよ確定申告!手続きの流れは?
必要な書類が用意できたら、いよいよ申告手続きです。締め切り間際に慌てないためにも、定められた期間内に余裕を持って手続きを終わらせるようにしましょう。
この段落では、確定申告の具体的な流れを紹介します。
確定申告の期間
確定申告の手続きができる期間は、毎年原則として翌年度の2月16日から3月15日までと定められています。この期間内に忘れずに手続きをするようにしましょう。
万が一確定申告期間内に申告しなかった場合、無申告扱いとなるほか、結果的に所得税を滞納することになってしまいます。あとで慌てて申告したとしても、無申告加算税などのペナルティが課されるケースもあります。後悔しないためにも、確定申告は申告期間内に終わらせることが大切です。
なお、所得額が少ないために納税する必要がなく、還付申告のみを行う場合については、特に確定申告期間内の申告にこだわる必要はありません。申告年の1月1日から5年間以内であればいつでも申告することができます。
確定申告書の作成
確定申告書の作成方法についても知っておきましょう。
確定申告書の作成は、手書きのほか、税務署にある確定申告書等作成コーナーを利用して作成することもできます。
確定申告書等作成コーナーを使うと、ウェブ入力で確定申告書を作ることが可能で。必要な計算を自動的に行ってくれるため、手書きよりも楽に申告書類を作成することができます。
確定申告書には、具体的に次のような内容を記入していくことになります。
第一表には、住所・氏名、収入金額等の所得金額、所得控除の金額、税額、延納の届出、還付される税金の受取場所を記入します。
そして、第二表には住民税に関する事項を記入します。
確定申告書の提出
申告書や決算書といった提出書類が揃ったら、添付書類とともに提出して申告完了となります。確定申告の申告手続きのやり方には、郵送、持参、e-Taxという3種類の方法があります。
- 郵送(住所地を管轄する税務署へ書類を郵送)
- 持参(住所地を管轄する税務署へ直接書類を持参)
- e-Tax(国税庁が運営する確定申告のオンラインサービス「e-Tax」で申告。ただし、利用にあたっては事前の登録が必要)
納税または還付
申告書を提出したら、その記載内容に基づき、納税したり税金の還付を受けたりすることになります。納税の手続きについては、振替納税で口座から振替してもらう、現金に納付書を添えたうえで金融機関や住所地の税務署で納付する、といったやり方があります。
さらに、e-Taxを利用しているのであれば、e-Taxからの納税も可能です。
一方、還付の場合は、申告書に記載した口座へ還付された分の金額が自動的に振り込まれることになります。
確定申告は手順がわかれば意外に簡単!
確定申告の手続きは、特に初心者にとってはわからないことが多いのではないでしょうか。しかし、実際に行ってみるとそれほど難しいものではありません。
1年を通じて少しずつ準備を進めていけば、直前になって慌てることなくスムーズに納税できます。
不安なく納税の義務を果たし、あるいは源泉徴収で払いすぎた税金を還付してもらうためにも、まずは基本的な流れや普段からやるべきことを押さえておきましょう。
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