説得力ある文章を書きたい！カギは論理的思考

ライティングで大切なのは、テーマに応じて正しい情報を集めつつ、それを分かりやすく整理して読者に届けることです。そこでは、単に情報を羅列するだけでなく、記事を通しての主張や結論が欠かせません。

しかし、せっかく情報を集めてもそれをどうまとめれば良いのか、情報から導かれる結論や主張とは何なのか、なかなか考えがまとまらないことがあるかもしれません。

そんな悩みを解決するために役立つのが、論理的思考です。ライターならぜひ習得したい論理的思考についてご紹介します。

論理的思考ってどんな思考？

論理的思考とは、1つのテーマに対し、筋道を立てて思考を展開し、明確な根拠をもって結論を示すという思考方法です。日常会話では、お互いの会話のキャッチボールの中で根拠や主張、結論を伝えていくため、あまり意識したことがないかもしれません。

しかしライターから文字情報を発信する「一方向コミュニケーション」のウェブメディアでは、読者から「ここが分かりづらい」、「納得できない」といった反論をリアルタイムで受け取ることは困難です。したがって読者に分かりやすく読みやすい記事を届けるためには、最初から最後まで理路整然とした、誰にとっても納得できる文章を目指すことが大切なのです。

根拠と結論を必ずセットにしよう！

論理的思考で欠かせないのが、根拠と結論の組み合わせです。たとえば、次の文章を読んでみましょう。

どれに信憑性を感じるでしょうか。いずれの文章も、伝えたい結論は「明日は雨だと思う」です。しかしその根拠となる部分が、それぞれ異なっています。

（1）は「なんとなく」という感覚的なもので、根拠とはいえませんよね。

（2）は「最近晴れが続いていたから」と示されていますが、これもあくまで個人の感覚であり、明確な根拠とはいえません。数日晴れが続くとき、翌日も引き続き晴れになる可能性は大いにあります。

一方で（3）の「天気予報で前線が近づいていると報じられていた」は、十分な根拠になります。前線の接近と雨には、科学的に裏付けられた明確な根拠―結論関係があるため、誰が読んでも納得できるでしょう。

このように、根拠と結論を必ずセットにすることが、論理的思考の第一歩です。

論理的思考を助ける文章構成とは？

短い文章であれば、「◯◯だから◯◯だ」という構文で、根拠―結論を示すことができます。ただしライティングではしばしば、数千字にわたる長い文章が求められます。文章が長くなればなるほど、根拠と結論との結びつきを明確に示せなくなり、ぼやけた内容になってしまうリスクがあります。そんなときは、論理的思考を助ける文章構成を活用しましょう。

（a）結論から述べる
最も分かりやすいのは、冒頭で結論を述べ、後の段落で根拠を並べていく方法です。たとえば「蜂に触ると危ない。なぜなら蜂は攻撃した者を針で刺すからだ」という構成です。ライター、読者ともに結論を念頭に置きながら残りの文章に取り組めるため、根拠―結論関係を見失うことがありません。

（b）三段論法を使う
これは、大前提・小前提・結論という流れの文章構成です。2つの前提から結論を導き出すことで、理路整然とした文章になります。たとえば「ニキビの原因は皮脂の詰まりである。皮脂を取り除くには、洗顔が効果的だ。だからニキビ予防には洗顔が大切だ」といった流れです。

根拠づけのポイント

論理的思考では、根拠―結論の関係が欠かせないことを紹介してきましたが、いっそう文章に説得力をもたせたいなら、根拠の部分を工夫してみましょう。

（c）根拠を複数示す
たとえば化粧水の効果を紹介するときに、「この化粧水を使えば美肌が期待できます。なぜなら保湿成分の◯◯が配合されているからです」だけでは、少し物足りません。「美肌」の根拠が「保湿成分」のみですが、果たして保湿だけで美肌が目指せるのでしょうか？

こういった疑問を解消するためには、根拠を複数示すことがおすすめです。「この化粧水を使えば美肌が期待できます。美肌を目指すには、保湿と美白というアプローチがあります。この化粧水には保湿成分の◯◯と美白成分の◯◯が配合されており、バランスよく美白を追求できます」とすれば、いっそう説得力が増すでしょう。

（d）根拠を深く掘り下げる
根拠が1つしかなくても、深く掘り下げることで説得力が増します。たとえば上述の化粧水に保湿成分しか配合されていない場合でも、「この化粧水を使えば美肌が期待できます。なぜなら保湿成分の◯◯が配合されているからです。保湿は、美肌を目指すスキンケアの基本です。保湿によって肌にうるおいを持たせることで、バリア機能を向上させ、健康な肌を保てるのです」と説明すると、ぐっと根拠が分かりやすくなります。