業務委託とはどういうもの?他の契約との違いと契約の注意点!

業務委託とは

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企業から発注された業務を受注する「業務委託」という契約形態があります。多様な働き方がある昨今、個人事業主や会社員の副業、フリーライターや家庭の主婦など、業務委託契約を結んで収入を得ている人は増えています。

介護や育児のために外で働くことが難しい人でも、インターネットとパソコンがあれば自宅で収入を得られるため、業務委託という形態はますます増加すると予想されます。

そこで、今回は「業務委託」で働く場合のさまざまな注意点、会社員やパートなどの雇用形態とはどう異なるのか、企業と業務委託契約を結ぶメリットやデメリットなどについて紹介します。

業務委託とは?

「業務委託」とは、企業から依頼があった業務を、個人や外部の企業が引き受けることです。つまり、正社員やアルバイトなどのように企業と雇用関係を結ぶのではなく、企業との関係性はあくまでも対等の立場にあるのが「業務委託」です。

たとえば、A商事が自社サイトの商品の説明ページのライティングをライターに依頼したとします。その場合、ライターは、社員として入社するわけでもなく、パートやアルバイトとして労働を提供するわけでもありません。

単発または中長期の継続でコンテンツ記事の執筆や修正依頼があり、決められた業務を完了した時点で契約は終了します。企業との業務上のやり取りはあっても、そこには雇用関係は発生しません。このような業務の形態が「業務委託」です。

雇用ではないため企業とライターの立場は対等であり、上司と部下のような主従関係はありません。

業務委託契約の種類は?

業務委託の契約形態には、主に業務の内容により「請負契約」と「委任/準委任契約」の2つの契約形態が存在します。それぞれ、どのような点が違うのでしょうか。

請負契約

請負契約は「成果物」に対して報酬を支払う契約になります。成果物とは、「新商品のブランドロゴマークのデザイン」「通販ページの受発注システム」「コンテンツマーケティングの記事」などがあります。ちなみに、個人が自宅の建築を工務店に依頼した場合も請負契約を交わします。この場合の成果物は「新築の一戸建て」になります。

たとえばWebライティングのライター募集の企業が、応募したライターと雇用関係を結ばずに記事の執筆を発注する場合も、請負契約という形で業務委託します。
WordやGoogleドキュメント、テキストやWordPressなどで納品した記事が「成果物」になるわけです。その成果物に対して報酬を支払う契約が請負契約です。

業務を請け負うことになったら、決められた期限までに成果物を完成させなければなりません。万一決められた期限内に業務が終わらない場合は報酬が発生しないどころか、契約違反による賠償金が請求されることもあります。

委任/準委任契約

委任/準委任契約とは、「特定の行為の遂行」に対し、報酬を支払うことをいいます。「委任」と「準委任」の2つに分けているのは、法律を扱うかどうかの違いによるものです。

弁護士や税理士に法律行為を行う業務を委託する場合は「委任契約」、法律行為以外の業務を委託する場合が「準委任契約」となります。いずれの場合も、成果物の有無は関係なく、特定の行為の遂行(=業務を行った事実)に対して報酬が支払われます。

特定の行為の遂行とは、「ゲーム開発会社の音楽制作プロジェクトに、個人で活動する音楽家に参加を依頼」「企業のWebサイトの保守管理」「ゴルフスクールのインストラクター」「裁判で依頼する弁護士」「患者の治療を行う医師」などです。

上記の場合、弁護士は裁判で法律行為を行うため委任契約となりますが、他はすべて準委任契約になります。

業務委託契約以外の契約方法は?

企業との労働契約では、業務委託以外にも「雇用契約」と「派遣契約」があります。業務委託との大きな違いは「企業と直接雇用契約を結ぶこと」です。どのような違いがあるか詳しく見ていきましょう。

雇用契約

雇用契約とは「労働」を提供することで会社から賃金を受け取る契約のことです。雇用形態は、正規雇用と非正規雇用に分かれます。

期間の定めがなく1日の就労時間がフルタイムの場合は正社員の正規雇用となります。それに対して、契約社員やパート、アルバイトは非正規雇用になります。

いずれも業務委託とは異なり、成果物に対しての責任を負うことはありません。また、雇用主と労働者との間には明確な主従関係があり、雇用主が「指揮命令権」を有します。指揮命令権とは、雇用主が労働者に対して業務における指示や命令をする権利を持つという意味です。

派遣契約

派遣契約は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業に対し「労働」を提供する契約のことをいいます。雇用契約との大きな違いは、「雇用契約」は派遣企業と結び、「指揮命令権」は派遣先の企業が持つことです。

つまり、雇用契約を結んだ派遣会社Aの紹介で、B不動産でしばらく働くことになった場合、指揮命令権を持つB不動産の担当者の指示のもと業務をこなすことになります。

業務委託のメリット・デメリット

働き方にはさまざまな雇用形態や契約形態があることがわかりました。では、どことも雇用契約を結ばずに業務委託で仕事を行う際はどんな特徴があるのでしょうか。業務委託のメリット・デメリットについて説明します。

【メリット1】自分の得意な分野での仕事ができる

業務委託なら、やりたい仕事を自分で選べるため、自分の得意とする分野の仕事で収入を得ることができます。

たとえば、Webライターなら、資格や知識を生かした専門分野で効率よく記事が執筆できるため、知識を持たない人がリサーチしながら書くよりも内容が深掘りされレベルの高い記事になります。良記事と認められれば記事単価アップにも繋がり、ヤル気もアップすればモチベーションが向上して結果的に収入も伸びるでしょう。

また、本業にするには自信がなくあきらめていた仕事でも、兼業という形ならチャレンジできるかもしれません。少しずつ受注しながらステップアップして、最終的に本業になったケースもあります。

【メリット2】好きな場所・時間で仕事ができる

業務委託は、決められた期限までに成果物を出せばよい契約なので、出勤時間や、勤務時間の縛りもありません。満員電車に揺られることなく好きな時間に自分のペースで、自宅など好きな場所で仕事ができます。

一つの企業の業務にじっくり取り組むもよし、何社かの異なる依頼を受けるもよし、自由に自分で決めることができるため、スキマ時間で働きたい主婦や会社員の副業にもおすすめです。

【メリット3】組織の人間関係のストレスがかからない

業務委託であれば組織に属さずに個人で業務を行うことができます。会社特有の組織内での上司や同僚、部下とのコミュニケーションに疲弊していた人は、人間関係からくるストレスを回避することができます。

また、就業後のお酒の席での付き合いがどうも苦手、という人もいます。無理して周囲に合わせる必要がないことを大きなメリットと感じる人も多いでしょう。

【デメリット1】労働法が適用されない

業務委託の場合は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの法律が自分を守ってくれません。

業務委託契約に不備などがあり自分に何らかの不利益が生じたときも、自分の問題として自ら解決しなければなりません。自分の身を守るのは自分、という覚悟で取り組むことになるでしょう。

【デメリット2】確定申告や保険料の支払いを自分でしなければいけない

会社に雇用されていれば、会社が所得税や住民税の処理や社会保険料の支払いをしてくれますが、業務委託の場合はそれも自分自身で行わなければなりません。
年に一度の確定申告では、必要経費をまとめて申告書類を作成する必要があります。節税対策の知識も身につけておいたほうが良いでしょう。

扶養家族がいる場合は、会社員時代と違い、国民健康保険料や国民年金の支払額がかなり高くなることを覚悟しなければなりません。

【デメリット3】仕事の量や収入が保証されない

仕事が必ず定期的に潤沢にあるわけではありません。継続で請け負っていた業務でも、相手企業の都合で期間満了や契約満了という事態がいつ訪れるかわかりません。一社の企業からのみ受注をしていると、今後の生活の見通しがたたなくなってしまいます。

必要であれば自分で仕事を開拓し受注しなければなりませんし、一度受けた業務でも永続的に収入が保証されているわけではありません。

業務委託契約を結ぶ際の基礎知識

業務委託契約を結ぶ際は、念には念を入れて細かなことまで万一の際の想定をしておくことが必要です。双方の立場はあくまでも対等ですので、受注側が遠慮したり下手に出たりする必要はありません。ここからは、業務委託契約の基礎知識について紹介します。

契約で結ぶ内容

業務委託を行う際は、発注側と受注側とで業務委託契約を結びます。この業務委託に関しては、法律で規定された明確な条文があるわけではありません。しかし、言った言わないのトラブルを回避するための雛形がありますので、その内容について見ていきましょう。

業務・成果物の内容

何を行なって成果と見なすかを決める内容になります。ここを曖昧にしておくと、トラブルに発展しやすいため注意が必要です。

ライターとして受注するなら、依頼された内容の記事を執筆して完了とするのか、画像の選定まで含まれているのか、WordPressなどの入稿まで担当するのか、その後の修正依頼にはどこまで対応するのか、などを確認しておく必要があります。

納品期日と検収期間

成果物をいつまでに納品すればいいかという期限と、納品後の検収期間についても確認しましょう。納品期日が短いと成果物の作成が困難になりますし、やっつけ仕事では評価も下がってしまいます。また、納品後の検収期間に長い期間を設定してしまうと、何度も修正依頼が発生するなどの弊害が出てきます。

報酬の支払時期と支払方法

報酬をいつ払うか、どのように支払うかなどを決める内容です。一般的には成果物を納品した際に支払われることが多いですが、企業の経理の締め日によっては、翌々月末払いなど、納品してからかなり先になる場合もあるため注意しましょう。

業務にかかる経費

業務内容によっては、交通費や原材料費などのコストがかかってくる場合があります。取材をしてライティングする場合は、往復の交通費や取材する場の会場費や茶菓代など、商品モニターなら品物の購入費や送料などが必要になります。

専門的な難しい案件の場合は、Webでも参考にできるようなサイトがなく、参考図書として書籍購入が必要になることもあるでしょう。その費用を誰が負担するかを事前に取り決めておくべきです。

業務を受注する側が何でもかんでも負担するとなると、極端な場合、収入が発生してもかかった費用を差し引くと無報酬となるケースもなきにしもあらずです。金銭に関わることは特にトラブルになりやすいため、事前に遠慮せずにしっかりと共通の認識を持つことが大切です。

契約解除

契約解除の条件について決める内容です。たとえば、契約中に連絡が取れなくなった、成果物に不備があったのに修正に応じないなど、何らかの問題があった場合に契約解除となっても異議を唱えないこと、というような取り決めです。

最悪の場合、成果物の納品直前で契約解除になってしまい、報酬が受け取れないというケースもありえます。そんな事態にならないように事前にしっかりと確認しておく必要があります。

損害賠償

業務を行う中でトラブルが発生したときなどに、どちらがどの範囲まで損害賠償を行うかを決める内容です。こちらを明確にしておかないと、トラブルが発生したときに多額の賠償金を支払わなければならない可能性もあります。

事前に、責任の範囲、責任を負う期間、賠償金額の上限など、一個人が不利にならないようにリスクを担保しておかなければなりません。

知的財産権の所有権

成果物の知的財産権の所有について決める内容です。ライターの場合は、執筆した記事の所有権が発注者かライターのどちらにあるかということを指します。

どちらの所有となるかは記事の内容や媒体によりさまざまですが、知的財産権に関連して金銭の発生もありえますので、しっかりと認識をそろえておく必要があります。一般的には、無記名の記事については発注側に譲渡することが多いです。

契約書を作成する際に知っておいた方がいいこと

業務委託契約では、契約書を2部作成して双方に署名押印して各自で保管することになります。署名押印した時点で、契約書に記載された内容の効力が発生します。実際に契約書を作成する際に知っておいた方がいい知識を紹介します。

印紙税について

成果物が明確な請負契約の契約書には、契約金額に応じた額面の収入印紙を貼付する必要があります。ただし、委任契約の際は収入印紙の貼付は不要です。また、紙で作成する契約書ではなく、電子メールなどで入力された文書上で契約書を取り交わす場合も収入印紙が貼れないため不要です。

請負契約書に契約金額が明記されている場合の収入印紙税は下記のとおりです。

  • 100万円以下………………………200円
  • 100万円超~200万円以下………400円
  • 200万円超~300万円以下………1000円
  • 300万円超~500万円以下………2000円
  • 500万円超~1000円以下………1万円
  • 1000万円超~5000万円以下… 2万円
  • 5000万円超~1億円以下……… 6万円
  • 1億円超~5億円以下……………10万円
  • 5億円超~10億円以下………… 20万円
  • 10億円超~50億円以下…………40万円
  • 50億円を超える場合……………60万円

請負契約書に契約金額が明記されていない場合は、1通につき一律200円の収入印紙を貼付します。

業務委託における注意点

業務委託を行う際には、企業と個人(または外部の企業)との間で「業務委託契約」を結んで取り決めた業務を完遂することになります。その際に、トラブルを未然に防ぐために、あらかじめ知っておいた方が良い注意点について紹介します。

業務範囲を正しく確認する

実際にどこまでが業務範囲で、成果物とはどのような状態のものを指すのかを細かく定義し、発注側と受注側の双方で確認する必要があります。
ここを怠ると、発注側が成果物に対して追加の要望を出してきたり、成果物として受け取り拒否を行ったりするなど、いつまでたっても完了したことにならず、報酬を正しく受け取れない可能性が出てきます。

たとえば、ライターの場合、記事の執筆だけに専念できると思って受注したところ、発注者のレギュレーションを確認すると、SEO対策のキーワードの選定から、タイトルや見出しなどの構成、画像の選定や文字の修飾、内部リンクの設定、修正作業、記事の公開などの一連の作業が必要だった、ということもあるようです。

文字単価が良いからと安易に受注してしまうと、作業の工程数が多く、時給換算するととても低いものだった、ということもあるので十分気をつけましょう。

報酬の額や支払い条件について確認する

成果物に対しての報酬の額が、どのような条件でいくらになっているのかを確認しておきましょう。文章にわかりにくいと思われる表現があれば正式契約の前に訂正してもらい、両者間で誤解のないようにしておく必要があります。

期限が設定されていて、それを過ぎると報酬が減額するというような契約もあるので、金額と条件は必ず確認しておかなければなりません。ここは気後れすることなく、シビアに取り決めておくべきです。

成果物に対する報酬があまりにも低く、受注者側にとってあまりに不利な内容だと思えば、根拠を示して交渉してみましょう。ここを曖昧にしたままでは業務に取り組むモチベーションすらも下がってしまいます。

成果物の出来不出来にも関わってしまうかもしれません。きちんとした企業なら、報酬の銀行振込の際にも、振込手数料をどちらが負担するかまで取り決めています。

偽装請負に気をつける

企業に雇用されている従業員が、ほかの企業に出向し、その企業の担当者の指示のもと業務を行うことは「派遣契約」になります。しかし、一般労働者派遣事業は、監督官庁である厚生労働省に派遣事業の許可を得るための届出をして認められないと、厚生労働大臣から正式に許可がおりません。

そのため、業務委託契約を結び、実際には準委任契約でありながら、派遣同様の待遇になっていることを偽装請負といいます。

これは、法律に違反していることもありますが、労働者に対して企業は雇用責任を免れることから、万一の際の安全保障や社会保障面で労働者は不利益を被ります。特に、同じ企業で雇用契約から業務委託に切り替わる際は「偽装請負」を疑い、用心しなければなりません。

まとめ

業務委託契約で働くことにはさまざまなメリットがありますが、多方面にわたって注意を怠らないようにしないと、自分が大きく損をしてしまうことになりかねません。

しかし、最初から疑いの目を持って疑心暗鬼で折衝する必要はありません。自分がやりたい仕事が見つかれば積極的に応募してみると良いでしょう。

報酬が発生する業務であれば、自分ですべてのことに責任を持って対処しなければなりません。

業務委託契約の知識を身につけて正当な契約を結ぶことで、相手企業への信頼感が生まれすし自信を持って業務に臨むこともできます。何より精神的にも安心感が得られ、今よりも良い働き方ができるきっかけにもなるでしょう。

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