在宅ワークが病気の原因に!?座り過ぎが招く健康へのリスクとは?

在宅ワークが病気の原因に!?座り過ぎが招く健康へのリスクとは?

在宅ワークの大きなメリットは、通勤や人間関係のストレスを最低限に抑えられることでしょう。また、外出する機会も減りますから感染症罹患のリスクも少なく、病気になりにくいイメージがあります。とはいえ、ストレスや疲労が全く無いわけではありませんし、在宅ワーカーが注意すべき病気も存在するのは事実です。そこで、今回は在宅ワーカーと切っても切り離せない「座り過ぎ」が招く健康へのリスクや、その予防法について紹介していきます。仕事に集中するあまり、毎日11位間以上座っているという人は特に注意が必要ですよ。

在宅ワークで病気になる原因は座り過ぎ!?

在宅ワークを行ううえで注意しなければならない病気としては、生活習慣病やPCの使い過ぎによる手首の腱鞘炎などさまざまなものが挙げられますが、そのなかでも特に注意したいのが「座り過ぎ」が招く健康被害です。近年、長時間の座り過ぎによりもたらされる健康リスクが注目されるようになり、世界各国で座り過ぎのリスクが研究報告されるようになってきました。

例えば、2012年オーストラリアで行われた研究によれば、1日の総座位時間が11時間以上の成人では4時間未満の人と比較すると、総死亡リスクが1.4倍になることが報告されています。また、25歳以上の成人におけるテレビ視聴による座位時間が1日2時間未満の人と4時間以上の人を比較すると、4時間以上の人で総死亡リスクが1.46倍、心血管死亡リスクが1.8倍になるという報告もあります。このほかにも、1時間座り続けるごとに平均余命が推定22分間短くなる可能性も示唆されているなど、座り過ぎによる健康被害は多くの研究で報告されているのです。

在宅ワーカーはPCの前に座って仕事をすることが多いですから、気分が乗ってくるとつい何時間も仕事に集中してしまいがちです。ですが、実はその行為が自身の健康にリスクを与えている可能性が高いことを覚えておきましょう。

どうして座り過ぎが病気の原因に?そのメカニズムとは

では、どうして座り過ぎがさまざまな健康障害の原因となるのでしょうか。実は、そのメカニズムは現時点では十分に解明されていません。ただ、心血管疾患や代謝疾患分野では、ある程度有力なメカニズムが研究報告されているので、ここではその説を紹介します。人間の体は起立時には姿勢を維持するために、ふくらはぎの筋肉を継続的に使用しています。歩行する際はふくらはぎの筋肉に加え、太ももの大きな筋肉も活発に使用します。このときに起こる筋収縮は、血中のグルコース(糖)や中性脂肪の細胞内への取り込みを促進させる働きを活性化させるのです。

一方、座位の場合は下肢の筋収縮がほとんど生じないため、血中のグルコース濃度や中性脂肪濃度は上昇しやすくなります。さらに、血行が悪くなるため、下肢で赤血球が固まりやすくなって血液がドロドロになり、血圧の上昇や血管機能の低下を招くと考えられています。以上のことから、座り過ぎにより心血管疾患や代謝疾患のリスクが上昇するという説が有力になっているのです。カナダで行われた研究では、座り過ぎは心疾患による死亡率を高めるのはもちろん、がんや糖尿病による死亡率や罹患率とも統計学的に意味のある関連があると報告されています。また、身体機能の低下や脳の認知機能の低下など、さまざまな悪影響をおよぼすという研究報告もされています。

最低でも1時間に1回は立ち上がって動こう

それでは、在宅ワーカーが座り過ぎによる健康被害を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。例えば、オーストラリアのメルボルンにある小学校では、クラス全員が1日30分は立って過ごすことができるように、高さが調節できる机が導入されています。また職場でも1日2時間以上立って過ごすことが奨励されており、座り過ぎ防止のキャンペーンも展開されているのです。このほか、2005年に報告された研究によれば、座ることをこまめに中断して立ち上がり、体を動かすことで血中の糖や中性脂肪の値を低下させることができるとされています。30分に1度仕事を中断するのは難しいかもしれませんが、最低でも1時間に1度は立ち上がって体を動かすようにしましょう。

また、最近はApple Watchなどのウェアラブルデバイスにも、長時間座っていると1時間に1回「スタンドの時間です。立ち上がって1分間ほど動きましょう」というメッセージが表示される機能が付いています。自分だけではうまく仕事を中断できないという人は、これらのツールを使用してみるのも良い方法かもしれませんね。

こぶたのまとめ

在宅ワーカーは、自分の都合に合わせて仕事を調整できますし、人間関係や通勤のストレスも少ない傾向にあるため、つい健康管理が甘くなりがちです。

しかし、在宅ワーカーは会社勤めと異なり、仕事の全ての責任を自分で負わなければならないので、体調を崩して仕事を休んでしまっても誰もその穴をカバーしてくれません。仕事が立て込んでくるとPCの前でひたすら仕事をしてしまう日もありますが、その状態が継続すると重大な病気になってしまう可能性もあります。
忙しいときこそ適度に休憩を入れて体をほぐし、いつまでも健康を維持できるように心がけてみましょう。

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みんなの感想文

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  • 在宅ワークを始めてから足や目に疲れを感じることが度々ありましたが、座りすぎが病気の原因になるとは知らなかったので注意しなければいけないなと思いました。無理をせずに体を動かすなど気分転換しながら頑張ろうと思います。
  • 在宅ワークなど座り仕事の場合、腰に負担がかかり病気の原因になる可能性もあるので体調管理はしっかりしたいなと思いました。私は運動は苦手なのですが、在宅ワークとはいえども日々のウォーキングや散歩などを欠かさず体を動かす習慣を身につけたいです。
  • まずショッキングな問題を提示し、具体的な内容を丁寧に解説、そして解決策の提案という記事の構成がとても参考になりました。指摘されている問題について疎かにしがちだったこともあり、ついつい読まされてしまったからです。
  • 座りすぎや同じ姿勢でいることが健康に良くないことは何となく知っていましたが、在宅ワークにも当てはまるということが改めて認識できました。また、理由についても説明されていたことが分かりやすくて良かったです。
  • 私も、サグーワークスを初めてから人間関係のストレスから開放されましたが、座り過ぎが身体に悪影響とは思ってもいませんでした。これから休憩する際は、立ち上がったりして血行をよくする努力もしたいと思います。
  • 普段座ったままで作業をすることが多いので、とても参考になりました。座りすぎが原因で死亡リスクが高まることは、恐ろしい事実です。最低1時間に1度は立ち上がって体を動かす、という筆者の提案は誰でも簡単に取り入れられる方法だと思うので私も取り入れてみようと思います。
  • 在宅ワークと病気の関係性について、海外の研究データを用いて紹介されており、要点をきちんと確認することができました。また、病気を防ぐためのポイントがポジティブな表現でまとめられているところも良いと思います。
  • 座って作業しているととても疲れるので、座りっぱなしによる健康トラブルがある、という内容に共感をおぼえました。1時間に1度立つ、というのは集中している時には難しいかもしれませんが、心がけたいと思いました。
  • 日本人の座りすぎによる健康被害は、確かによく耳にするようになりました。30分に1度「よっこらしょ」と椅子から立ち上がるだけでも、良い効果があるそうです。在宅でライティングをすると、気が付けば数時間がたっていたということもあります。健康でないと良い文章も書けないと改めて感じました。
  • 在宅ワークをしていると、つい夢中になって何時間も座ったままになってしまっていました。でもそれは健康に影響を及ぼし病気を招き、余命も減らしていくことになります。ライティングの合間には必ず体を動かすことが大切です。
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