漢字ひらがなカタカナ英語?ライターならば意識してほしい表記方法の使い分け

日本語は、その表記の仕方に関しては実に複雑な言語です。漢字だけでも難解きわまりないというのに、その上、ひらがなとカタカナ、時には英語やアルファベットさえも使い分けなければならないのですから。
ライターをしていく上では、この表記方法の選択も大切な要素になってきます。

無意味に難解な漢字を使わない

文章を書く仕事において、初心者がよくする間違いのひとつが、無駄に難しい漢字を使うことです。油断すると「いわゆる」を「所謂」と書いたり、「いかん」を「如何」と書いたり、「そびえる」を「聳える」と書いたりしてしまいます。
なぜかと言えば、難しい漢字を使っていると何となく格調高い文章に思えるからです。
しかも、手書きの時代と違って、現代ではキーボードの変換ボタンを押すだけで難しい漢字が出てくるので、ついつい安易に使ってしまう傾向があります。

しかし、ライターに求められているのは読者にとって分かりやすい文章を書くことです。見た目のカッコ良さにこだわって、難解な文章になってしまったのでは意味がありません。したがって、ライターは記事を書いていて、打ち込んだ漢字がちょっと難しいかなと感じたならば、ひらがなに書きなおすくらいの気持ちが必要なのです。

初心者ライターに覚えてもらいたい「漢字を開く」テクニック

それでは、難しい漢字さえ使っていなければそれでよいのかというと必ずしもそうではありません。
「食べて頂きます」、「お願い致します」など補助動詞に漢字をつかうと文というものは固い印象を受けます。
形式的な場など、あえて固い文章を使うケースも当然ありますが、Web上の記事であれば、「食べていただきます」、「お願いいたします」と書いた方がすっきりとして読みやすい印象を受けるはずです。

その他にも、「様々」は「さまざま」、「出来る」は「できる」、「大変な事」は「大変なこと」と書いた方が感覚的に分かりやすい文になります。これを「漢字を開く」と言い、初心者ライターには最初に覚えてもらいたいテクニックです。

読みやすい文章の漢字比率は約20%

ところが、ここから先が日本語の難しいところで、何もかもひらがなにすると逆に、文章というものは分かりにくくなってしまうのです。

ところが、ここからさきがにほんごのむずかしいところで、なにもかもひらがなにするとぎゃくに、ぶんしょうというものはわかりにくくなってしまうのです

実際に書いてみると随分、読みにくいことが分かるでしょう。これは私たち日本人が漢字混じりの文章に慣れてしまっているからです。ひらがなだけの文章は感覚的に不自然さを覚えてしまいますし、漢字をマスターしている人間にとっては、事実、冗長でもあります。
ちなみに、新聞の文章における漢字の比率は3割程度です。

しかし、新聞の文章自体が多くの人にとっては、少々固く感じる傾向があります。もっと気軽に読むべきweb上の記事では、さらに比率を落として20%から25%程度が適正値だと言えるでしょう。ライターとして記事を書く際には、この数値を意識して、常に読みやすさを第一に考えながら漢字を使っていく必要があります。

カタカナ用語の多用は読者に混乱をもたらす

それでは、カタカナの使い方はどうかというと、これも気をつける必要があります。カタカナというのは外来語であり、私たちがあまりなじみのないものに対して使用している場合が多いからです。
「カタカナ」や「ライター」といった、すでに私たちの生活に溶け込んでいる言葉なら問題ありませんが、専門分野の記事を書くときに使われるカタカナ用語は、一般に知られていない言葉が多く、読者に混乱をもたらします。
ましてや、英語などの原語をそのまま使用するのは読者の理解を拒絶するものです。こうしたケースは、IT関連や医療関連の記事などでよく見られます。
この場合、想定読者が専門家だけなら話は別ですが、広く読んでもらおうと思うのであれば、ひらがなや漢字に翻訳して分かりやすい日本語に置き換える必要があるでしょう。

 常に読者を意識して文章を書くことが重要

漢字、ひらがな、カタカナなどの使い分けは、分かりやすさを第一にと繰り返して述べてきました。
しかし、この分かりやすさというのも読者によって変わってきます。中には漢字を多く使ってくれた方が、文章をすっと理解しやすいという層もいるのです。
したがって、表記の使い分けに正解というものはありません。

重要なのは常に読者を意識し、想定した読者にもっとも分かりやすい文章を書こうという努力をし続けることなのです。

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みんなの感想文

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  • 読みやすい漢字の比率があることをまったく知りませんでした。学校教育では、知っている漢字をとにかく使うことが最善ですから、その習慣が抜けません。漢字を多めに使う習慣があります。とても気をつけたいポイントだと思いました。
  • 自分では良いと思っていても、普段は使わないような漢字を使ったり、カタカナやアルファベットを多用したりすると読みにくい文章になるということが分かりました。常に、読み手のことを考えるということが大切なのですね。
  • 漢字表記をするか否かは、単語によったり、文章の流れの中で意味を考えたりするといつも悩むところでしたし、「漢字を開く」と言う言葉は知らなかったので大変勉強になりました。読み手が記事の内容や主旨を理解できないような表現はできるだけ避けた方が良いと思いました。
  • これまで、なるべく自分で書けないような漢字は使わずに書こうとは心掛けてきましたが、文章中の漢字の比率までは考えたことなかったです。例に挙げられていた、「さまざま」とか「できる」とかはいつも変換するか悩む部分なので、ゆるい内容の記事ならひらがな、堅めの内容であれば漢字、みたく使い分けてもいいかもと思いました。
  • 漢字の多用は良くないと理解できました。しかも文章の20%が漢字だと、読みやすいのは初耳です。もっと漢字が多いのが普通だと思っていたので、意外な気がします。難しい漢字は、やはり使わない方が良いんだと実感できました。
  • 漢字を開くという言葉は初めて聞きました。ライティングの仕事でも、メールのやり取りでも、PCやスマホはキーひとつで簡単に変換できるので、ついつい漢字を多用してしまいます。読み手をイメージして気を付けて文章を書こう。と改めて感じる記事でした。
  • 私の文章もひらがなとカタカナの使い分けが曖昧だったので今後は気をつけたいです。また読み手を無視した難しい専門用語の取り扱い等にはしっかりと注釈をいれて配慮するなど工夫を取り入れていきたいなと思いました。
  • 「読者の立場になって文章を書く」という、当たり前のことができていなかったんだなぁと、反省させられました。「漢字を開く」という言葉も初めて知りましたが、なるほど、読みやすい文章にはルビが必要な難しい漢字はなかったなぁと思い至りました。
  • 漢字を開くというテクニック、難しい漢字や言葉を羅列すれば良いというものではなく、読者に読みやすく分かりやすい文章を書くことが必要だということですね。重要なことは記事を読んでくださるであろう読者を想定し、分かりやすい文章を書こうと努力をすることだと分かりました。
  • 漢字とひらがなの比率は2:8が読みやすい、というのは初めて知ったので大変参考になりました。確かにそう意識して書いてみると自分自身も読みやすく、頭にすっと入ってきますね。カタカナも使いすぎると混乱を招くとの事なので、今後のライティングに活かそうと思いました。
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