私に影響を与えた一冊

ライター名:GAWA
プラチナライター歴:1年7カ月

本と向き合うということは、読む者に多様な影響を与えてくれるものだと思います。単純に本に書かれた知識を得るだけでなく、文字が紡ぎだす物語によって心が揺さぶられ、元気や勇気を与えてくれることもあります。私が中学生のときに出会ったこの小説は、それまでになかった読後感を与えてくれました。その独特な読後感を与えてくれた作品は太宰治による著作である『人間失格』です。この小説を読み終わったあとの私は、なんともいえない読後感を持ちました。

それは、感動などという今までの読書で経験したものではなく「嫌悪感」です。また、本の種類に限らず、今まで本を読み終えた後は一冊の本を制覇したという充足感も得られました。しかし、この本にはそのような充足感も湧き出てこない、不快で陰鬱な気持ちのみ残ったのです。当時の私は子どもだったので、自分のなかでこのような形態の作品を定義することができませんでした。そして、いまだに太宰がこの作品を執筆した意図も、私にはわかりません。

この作品の妥当な解釈としては「自身の懺悔の多い人生を吐き出すことで自身の浄化を図った」という解釈が定説です。しかし、実は、懺悔録の形を借りた綿密に計算されたエンターテインメント作品という見方もあります(『人間失格』が発表されて何十年も経過してから、プロットが綿密に書かれた創作ノートが発見されています)。

私が、この作品を通して学んだのは作品の内容ではなく、表現するということは自由な行為であり何を書いてもいいということです。そして、自由な反面、作品として昇華するためにはそれ相応のスキルが必要であるということも学びました。この後、自ら命を絶つ太宰ですが、果たして太宰が命がけの覚悟でこの作品の執筆に挑んだのか、それとも、自らの高度なスキルで「壮絶な懺悔録」風に仕上げたのか、真意はわかりません。ただ、当時子どもだった私に、文字だけでここまで踏み込んで書くことは可能である、ということを教えてくれたことに間違いはありません。見たことのない別の世界観を教えてくれた小説が『人間失格』なのです。

こぶたからのひとこと

>『人間失格』が発表されて何十年も経過してから、
>プロットが綿密に書かれた創作ノートが発見されています
へ~、そうだったんだ!

『人間失格』はむか~し読んだけど、社会人になった今読み返すと
また違った感想を持てそうだな~。久しぶりに読んでみるよ!

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