コラム・社説で文章構成力をトレーニングする

コラム・社説で文章構成力をトレーニングする

文章トレーニングの方法として、最も手軽な素材は新聞です。新聞の紙面には簡単には読み切れないほどの文字情報が掲載されています。そのテーマは現代生活に関わる森羅万象を扱っています。そして、情報量に対してのコストパフォマンスは他のメディアの追随を許しません。webライティングのトレーニングという観点からも、新聞は最良の素材のひとつとなります。文章表現の基本は紙媒体でもwebでも同じであり、特に文字数に合わせた構成を考える上で参考になるからです。

文章トレーニング素材としての新聞の利点

新聞の持つ情報量は膨大です。全国紙等の場合、約40面のうち広告を除いて28面ほどが記事となり、それぞれに約12,000字(原稿用紙30枚分)の文字を掲載可能です。つまり、新聞一部で3,000万文字を超える情報を持っています。活字の大きな新聞も増えており字数は減りますが、新書が約15万字ほどなので、少なく見積もっても十数冊分はあります。このような新聞を文章力トレーニング素材として見た場合に、「内容の充実度」と「情報の鮮度」という点で圧倒的に有利なものと言えます。

まず「内容の充実度」としては、そこで扱われる情報が構造化されており、テーマが網羅的である点に特徴があります。新聞記事には一面から最終面まで序列があります。例えば「一面トップ」記事は、その日最も重要であると新聞社が判断した事件です。さらに見出しの大きさや紙面での記事の分量などを見れば、情報の序列がわかるように構成されています。新聞社により情報の価値付けには差がありますが、複数の新聞を比較することで、現在の社会でどのような事象が問題となり、どのような意見が対立しているかについて「鮮度」の高い情報をほぼリアルタイムで知ることが出来ます。

トレーニングポイント1:読ませる文章を書くには?

webでも紙でも媒体に関わらず、文章は「読んでもらう」ためにあります。読ませる文章を書くには、まず良質な文章を「読む」ことから始めるのがトレーニングの基本です。では、良質な文章の条件とは何でしょうか。まずは「真実性」です。新聞には、個人が自由に発表できるネット上にあるブロクなどと異なり、各分野の専門家のチェックが入った記事が掲載されています。「裏を取る」といいますが、記事の根拠となる情報を精査した上で、信頼性を確保するシステムを経て紙面に掲載されます。

そのため、概ね「本当のこと」が書かれていると見なすことができ、情報としてライティングに取り上げることが出来ます。良質な文章として、次に重要な点は「多様性」です。新聞には様々なテーマについての文章が掲載されているため、自分が苦手でよく知らない領域の話題にも慣れることができます。直接そのテーマについてライティングするわけではなくても、常識として知っておくとスムーズに筆が進むものです。この意味で、多様な記事に触れておくことは、読ませる文章を書くために大きく貢献してくれます。

トレーニングポイント2:制限字数内で読ませる構成を学ぶ

webより紙媒体のほうがシビアな問題のひとつは、字数制限です。新聞の場合、紙面の大きさが決まっており、ひとつの記事はあるレイアウトの範囲内に収まる字数で、かつ過不足ない情報を伝えるように構成されています。それに対し、webページは紙面と異なり、画面をスクロールすればよいので、基本的には物理的な制約がなく、字数制限にこだわる必要はありません。ただし、ほとんどのwebライティングの仕事には制限字数が設定されています。そのため、字数を見据えた文章構成力を学ぶ上で大いに参考になるのです。

「起承転結」や「序論・本論・結論」など、文章構成の鉄則が幾つかありますが、新聞のコラム欄や社説欄の文章には、その実例があります。具体的なトレーニング法としては、それらの文章を100字、80字、50字などに要約してみるというものがあります。記事の重要な部分だけを残す作業を通して文章の構造を明確にする効果と、密度の濃い文章を書く能力を向上させる効果があります。

こぶたのまとめ

  • 文章トレーニングには新聞は最適な素材
  • 読ませる文章を書くには、まず良質な文章を読むことから
  • 制限字数内で密度の高い文章を書くにはコラム欄や社説欄を分析してみる

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みんなの感想文

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  • 人に読んでもらう文章を書くとき、お手本となるものがあると非常にやりやすいと思います。自分も新聞は手頃な教科書として目を通していますし、非常に共感できました。文章を書くことを志している方に読んでほしい文章です。
  • この記事を読むまでは、何を文章トレーニングの材料にしようかと悩んでいました。最近では、紙媒体よりもネットで簡単に情報を得られるので、ついネットに頼りきりになっていた事にふと気付かされました。確かに新聞は、新鮮で確かな情報を掲載しており、なおかつ文数も決まっていて、文章トレーニングに最適な素材ですね。今後は、新聞をトレーニング素材にしていきたいと思います。
  • webライティングのトレーニングとしては関連書籍を購入して行うことが多かったのですが、身近にある新聞を使ってもトレーニングができるんだと新たな気づきを得られました。自分は文章構成がまだまだだと感じているので、新聞のコラムや社説で文章構成トレーニングをしてみようと思います。
  • 文章を書くためにはまず読むことが重要だと理解しました。そのために新聞が有効な材料になり文章能力、読解力、文章構成がアップします。たくさんの文章を読むことで文章になれることから始めるのは有効だと感じました。
  • 新聞を読むことが文章力アップにつながるとは知りませんでした。いつもスマホのインターネットニュースで済ませてしまっているので、新聞の定期購読契約をして、文章力アップのために新聞を読んでみようと思いました。
  • 新聞が文章トレーニングに役立つ素材とは、あまりにも身近な存在で見落としていました。確かに、内容も専門性が高く信用できますし、自分の知らないことや苦手分野を勉強するのに最適ですよね。近頃、新聞を読む機会がめっきり減っていましたが、久しぶりに新聞を読んでみようかな、という気分にさせられました。
  • 何気なく見ている新聞に、3000万文字もの情報が詰め込まれていることに驚きました。すべては無理でも、少しでも新聞を読み良い文章に触れて、少しでも自分の文章の向上につなげられるように努力したいと思います。
  • この記事を読んで一番驚いたことは、新聞のコストパフォーマンスの良さでした。学生の頃は、”新聞は堅くて難しい”というイメージが強く、めったに読みませんでした。しかし、世の中で起こっていることが分かると同時に良質な文章力が身につくと考えると、学生のときにも、新聞という身近で素晴らしい文章トレーニングの道具があったのにもったいなかったな~と思ってしまいました。この記事で気づいたことを頭の片隅に置きながら毎日の新聞を読みたいと思います!
  • 文章トレーニングという言葉や概念を初めて知りました。確かに多くの人に情報を伝える新聞は、文章を通じて相手に分かりやすく伝える方法や読みやすい文章を書く方法を学ぶのに適していると思います。自分自身がまず読むことで、文章を書くトレーニングになるというのはとても良い方法であり実際的だと思います。
  • 身近な新聞が新書の十数冊分に匹敵するとは、まさに目から鱗でした。確かに考えてみると新聞紙を最初から全て読むことはなく、興味がある箇所だけしか読んでいなかったので、ぜひ今日から実行し、隅から隅まで新聞を読み、最大限に活用しようと思いました。
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