ベストセラー本に学ぶ!売れる本、読ませる文章のヒミツ

ベストセラー本に学ぶ!売れる本、読ませる文章のヒミツ

ライターなら、読まれる文章を書きたいと誰しもが思うはず。簡潔で分かりやすく、内容がスッと入ってくるような、抵抗なく先を読み進められる文章を書けるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。今回参考にしたいのは、コピーライターが書いた『伝え方が9割』です。

この本は、2013年のビジネス本ランキングで1位に輝いたベストセラー本。内容だけでなく、本の作り方にもベストセラーになった理由が隠されています。このベストセラー本に、どんな秘密があるのかを紹介します。

共感と納得感がキーワード

コピーライターというと、CMや広告の文句を考えている人達という印象が強いと思います。本書の内容も参考になることが多いのですが、人の関心を集める本の作り方についても大変勉強になります。筆者は、コミュニケーションに苦手意識を感じていましたが、コピーライターに配属されたことがきっかけで、試行錯誤して人を動かす文章の方法論を編み出し、数々の広告賞を受賞できるようになったという経歴を持っています。文章を書くことが得意だったからコピーライターになったのではなく、苦手だったのに努力して成功しているというストーリーがすでに読ませるパターンになっていますね。

そして注目したいのは、タイトルの付け方です。何を根拠にして、伝え方が「9割」なのかは分かりませんが、日常生活の実感をとらえていて妙な納得感があります。「言っていることはいいんだけど、言い方がね」と思うことはよくあるパターンでしょう。例えば、政治家の国会答弁などはその最たる例です。内容はよく練られているのでしょうが、話をしている本人がペーパーを見ながら話をしている。言いたいことが頭に入っていない様子を目の当たりにしているので、聞く側からするとまったく聞きたいという気持ちにならないのです。

反対に、言っていることは稚拙なのに、伝え方が堂々としていたり、人の感情に訴えるような伝え方がされていたりすると話を聞こうかなという気持ちになってしまいます。本は、構成ももちろんですが、それを先に読み進めようと思うには、まず、それがどのような立場の人が書いたものなのか、共感を得られる人物が書いたものなのか、そして納得感がありつつもインパクトがある、手に取りたいと思うタイトルなのかが非常に重要な点であると言えるでしょう。これは、書籍にもwebの文章にも共通することです。

伝わる文章の秘訣はシンプルさとターゲットを意識すること

この本をライターにおすすめする理由は、コピーライターが書く文章は伝えることに力点が置かれたものであるということがあげられます。通常のライターは、比較的まとまった文字数の中でこういう内容を書いてほしいという依頼を受けて仕事をします。しかし、コピーライターは短文の中に伝えたい内容を盛り込む仕事をしています。必然的に言葉に対する感度が高くなり、語彙も増やさなければならないし、サプライズ法、ギャップ法などの様々な表現テクニックを磨いていかなければいけません。シンプルなのに伝わるということが、ライターとしての基本です。文字数を膨らませることは比較的簡単です。まずはエッセンスをまとめる。そこにエピソードを追加するなどして枝葉をつけていけば、文字数は自然と増えていきます。意識して伝わる文章を積み重ねていくことが、長文になっても伝わる、読ませる文章になっていくのです。

もう一つのポイントは、コピーライターの文章はとことん対象に合わせた文体を追求していることです。世の中の商品にはすべてターゲットが存在しています。例えば、このコラムはライターにとっておすすめできる本ということなので、文章上達に役立ちそうな本を紹介することになりますが、アスリートの人にとっておすすめする本ということになると、メンタル面を鍛えるとか肉体改造に役立つような本を紹介することになるかもしれません。

現代社会で「伝え方」が関係ない人なんていない

この本は、文章を書くだけでなく、コミュニケーション全般に役立つ内容が書かれているので、営業マンや販売員、学校の先生やアナウンサーなど人にものを伝える仕事をしている人にはもちろん、どんな職業の人にも何かしら参考になる内容となっている点が強みでもあります。仕事だけでなく、友人関係や家庭生活を円満にするための方法論としても参考になることがあるでしょう。

現代社会では、コミュニケーションを避けて通れる人はいないと言っても過言ではないからです。本を読むときには、内容だけでなく、どうしてその本を自分は手に取ったのか、読み進めようと思ったのかといった視点を持つとライターの仕事にも生きてくること間違いなしです。

今回紹介した本について

  1. 書籍名:伝え方が9割
  2. 著作者:佐々木 圭一

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みんなの感想文

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  • 本の内容をネタバレせずにうまく紹介し、伝わる文章の秘訣というところが興味深く、おもしろかったです。ライター自身が良くこの本を読み込んだというのが伝わってきそうな、読ませるのがうまい文章だと感じました。
  • 文章を書く上で大切なことがキーワードに分けて説明されているので、とても分かりやすかったです。一冊の本が紹介されていましたが、文章力のスキルアップだけでなくコミュニケーション能力も上がりそうなので興味を持つことができました。シンプルに聞こえる「伝え方」というキーワードがとても重要だと知りました。
  • エッセンスにエピソードを付け加えるというやり方が、正しいものだと知って自信がつきました。つい、修飾語をつけて誇張した表現をしてしまいがちなのですが、かえってそぎ落としたもののほうが伝わりやすいというところが今後の指針になったと思います。
  • 記事を書くにあたって、タイトルが重要ということは感じていましたが、この文章を読んで再認識しました。また、この本がコミュニケーション全般にわたって参考になると書かれていたので、自分も機会があったら読んでみたいと思います。
  • ターゲットを意識してキャッチコピーを考えるというのは当たり前ですが、今まで意識した事がありませんでした。どんな人に読んでもらいたいのか、その人がどんな言葉なら興味を持ってくれそうなのか、読む人の事をもっと考えて書いていこうと思いました。
  • 「伝え方が9割」という本は知っていたのですが、まだ読んだことがなかったので参考になりました。本の内容を丁寧に分析し、謙虚な気持ちで何かを得ようと読書するという姿勢が、自分には欠けている部分だなと反省させられました。
  • 人に何かを伝えたいときには熱量とテクニックが必要であるとわかりました。熱量だけでは文字を読み進めることに疲れを感じる場合がありますし、テクニックだけでは内容が頭に残らないことも多い。従って、文章を書く上では自分がこれを書きたいと心底思うまで徹底してネタを追及してから構成を考えるほうが良いのだな、と思いました。
  • 読んでもらえる文章を、どのようにして作成すればよいかが、分かったように思います。シンプルに分かりやすく伝えるということは、文章だけでなく会話にも必要な技術で、「会話」は、どの時代でも、これからの未来にもずっと使われ続けていくものだと思います。オススメの本を読んでみたくなりました。
  • もともと気になっていた本でもあったので、読んでみようという気になりました!コピーライティングも普段の会話も、言葉の組み合わせで成り立っているので、仕事でもプライベートでも役立ちそうな1冊だと思いました。
  • コミュニケーションで悩む場面がある時に、相手に伝えたい事はなんだろう?一番分かってもらいたい事はなんだろう?伝えたい文章を伝わる文章にするために参考にしたいキーワードがいくつもありました。ブログや会話で上手く伝わらない時には思い出して、諦めずに挑戦してみようと思います。
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