ライターの仕事における言葉選びの重要性

Webライターが仕事の依頼で文章を書く際に忘れがちなのが、読み手の存在です。機械的に仕事をしていると、与えられたどのテーマに対しても同じような文章を羅列するだけになってしまいます。しかし、ライターに求められているのは、読み手に興味を持ってもらえる記事を書くことです。

そのためには、こちらも読者を意識する必要があります。読者の顔をしっかりと見据え、その読者に合った文章とはどういうものかを考えなければなりません。その際の重要なポイントのひとつが言葉選びです。

言葉の選び方ひとつで大きく異なる文章の印象

同じ内容の文章を書いても、どんな言葉を使うかでその印象は随分と違ったものになります。例えば、「熟語+する」という表現です。いわゆる熟語動詞ですが、これを多用すると文章は硬く重々しいものになっていきます。逆に、普通の動詞に直すと柔らかい感じになります。以下に一例を挙げてみます。

  • 受容する/受け入れる
  • 創出する/創り出す
  • 雇用する/雇う
  • 援助する/助ける
  • 行使する/行う

こうして並べてみると左側の方が硬く、右側の方が柔らかく感じられるはずです。また、漢字を外来語であるカタカナで言い換えると軽いイメージになりますが、耳慣れない外来語ばかりを多用すると意味が分かりにくい上に、気どった文章になってしまいます。これも一例を挙げてみましょう。

  • 説明責任の欠如/アカウンタビリティの欠如
  • 安全性を高める/セキュリティを高める
  • 発表を行う/プレゼンテーションを行う
  • 原型を作る/プロトタイプを作る
  • 基本計画を決定する/マスタープランを決定する

言わんとすることは同じでも随分と印象が変わってきます。基本的に外来語は使用しない方が意味は分かりやすいのですが、耳新しい言葉で文章にインパクトを与えるには有効です。さらに、言葉自体は同じでも漢字にするかひらがなにするかでも印象は異なります。言うまでもなく、漢字にすれば硬く重たいイメージになりますし、ひらがなにすれば、柔らかくて軽い感じになります。

読み手によって異なる言葉の使い方

言葉の選択によって文章の印象も変わってくる事実を踏まえた上で、読み手の存在を考えることが大切です。例えば、サグーワークスのプラチナライターへの依頼記事の場合、想定読者の記載があります。「20代~30代前半の女性」、「40代以上の男性」といった具合です。そこで、その読者の心に最も響く言葉はどれかを考えるのです。大まかに分類すると女性は男性に比べて柔らかな表現を好みますし、若者は年配者に比べると軽い表現の方が受け入れやすい傾向があります。

また、記事のテーマがどのようなものかであるかにもよって選ぶ言葉も変わってきます。社会的問題や専門的な記事ならば、ある程度硬い言葉を使用した方が説得力のある文章になりますし、健康や美容などの身近な記事の場合は柔らかめの文章の方が親しみを感じて読みやすくなるものです。さらに、専門的な事柄に関する記事だとしても読み手が初心者の場合、専門家が使うような外来語を並べていたのではまともに読んではくれないでしょう。こうしたケースでは、外来語を平易な日本語に置き換えて読みやすくする必要があります。

以上のように、ライターが記事を書く際には想定読者と記事のテーマに基づいて、どのような言葉で語るのが一番ふさわしいかをよく吟味するのが大切です。そうしないと、依頼者が求めているイメージと全く異なる記事になってしまいかねません。

読者視点で文章を書くことの大切さ

文章を書き慣れていない人が陥りやすいのが、わざと難しい言葉を使ってしまうことです。普段、使わないような言葉を並べると何か高尚な文章を書いているような気になってきます。しかし、読者にとってそれは単なる読みにくい文章にすぎません。ライターの仕事というのは、読者に読んでもらって初めて価値がでるものです。こちらが読者を選ぶのではなく、読者に合わせた文章を書くことができるようになって初めて一人前のライターだと言えます。

そのためには、ネット上の記事を読むときなどもどのような言葉が使われているかを意識し、他の言葉に言い換えられないかを考えてみるのがよいでしょう。「この記事は年配の男性向けの記事だが、若い女性向けの記事にするにはどんな言葉を突けばよいだろうか?」といった具合です。それが習慣化されれば、自分が記事を書く際に自然と適切な言葉選びができるようになってくるはずです。

こぶたのまとめ

言葉の選びかで文章の印象は変わってくる

  • 「熟語+する」:硬く重々しいイメージ
  • 外来語:軽い印象を与えるが、多用すると意味が分かりづらくなる
  • ひらがな:漢字を使用するより柔らかく軽い印象

このような点を踏まえて想定読者やテーマに見合った言葉を選択する

決して自分の自己満足のために難しい言葉を使ったりしないよう、気をつけねばならない

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みんなの感想文

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  • ライターは読み手に興味を持ってもらえるような記事を書く、というのは意識していましたが、熟語動詞についての具体例はとても参考になり、よりわかりやすい文章を書くための参考になりました。想定読者の年齢層を考えて適切な言葉を選択することができて一人前のライターという部分にその通りだという感想を持ちました。
  • これまで数多くの記事を書いて来ましたが、想定読者によってワードを変えることはあまり意識していませんでした。ワードを変えることで、硬いイメージや斬新なイメージなども演出できることには全く気付きませんでした。この記事を参考にこれからは記事作成を行なっていきたいと思います。
  • webライターをする上で言葉選びは重要で、正しいと思って書いている言葉が実は不適切だったなどの勘違いがあります。なので、言葉選びに関する情報は役に立ちます。改めて、日本語は複雑で奥が深いのだと思い知らされました。
  • 言葉の選び方はとても重大な要素だと思いますから、本気でライターを目指している方に有益な記事だと思いました。また、ひらがなやカタカナ、漢字のほかに、外来語を使う方法は斬新で良いアイデアだと感心しました。
  • どのような人に向けての記事かを考え、言葉を選ばなきゃいけないんですね。言葉の使い方ひとつでも印象が変わってしまうとはすごく勉強になりました。まだまだ知らないことが多いなと思い知らされました。読者視点で書くことを心がけようと思います。
  • 文章を書くときは、想定読者を意識して書いているつもりですが、改めて指摘されると、果たして十分に配慮されているかどうか不安にもなります。年齢、性別、職種など気を使うべき事項はいろいろありますが、記事の指摘を参考に、少しでも読みやすい文章を書けるように努力していきます。
  • 記事は読んでもらえることで初めて価値が出るというところに、改めて相手の事を考えた記事を書くことの大切さがわかりました。年齢層や性別、興味の対象などをしっかり意識して、自己満足の文章にならないようにしたいと思います。
  • 同じ内容でも、選んだ言葉によって文章のイメージが変わってくることが、良くわかりました。ライティングするなら、誰が記事を読むのかを意識することが重要だと思いました。きちんと文章の書き分けができる技術も必要ですね。
  • 文章を書くときに、ターゲットの読者層別に言葉を選ぶことは大切だと分かってはいるものの、読み手としては、今まで自分自身がターゲット層になっている読み物に触れる機会ばかりだったため、それ以外の人向けの文章を読んだ経験がほとんどありませんでした。このコラムを読んだ後、今後は研究も兼ねて、いろいろな雑誌や書籍を読まなければと思いました。
  • ただ自分が伝えたいことを書き連ねるのではなく、読み手が興味を持つような文章が求められているとわかりました。テーマはもちろんですが、年齢や性別など想定読者を想像しながら書くことも必要だとわかったので今後気を付けようと思います。
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