『ホーキング 未来を拓く101の言葉』うまくいかないと感じるときに

ホーキング 未来を拓く101の言葉

仕事をしていると嫌な思いをしたり失敗したりすることもあるでしょう。そのたびに気持ちを切り替えてまた次の仕事に立ち向かっていかなければいけません。しかし、どうしても気持ちを奮い立たせることが難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、偉人の残した名言に触れてみるとモチベーションが上がることもあります。

今回、ご紹介するのはイギリスの天才物理学者ホーキング博士の名言集である『ホーキング 未来を拓く101の言葉』です。ホーキング博士は学生時代に筋萎縮性側索硬化症(通称ALS)と呼ばれる難病を患い、車いすでの生活を余儀なくされます。しかし、それにめげることなく研究を続け、量子宇宙論という新たな学問の分野を開拓することに成功しました。いつからか周囲の人々は尊敬の念を込めて「車いすの天才物理学者」と呼ぶようになった人物です。

そんな、悲運の天才科学者はどのような気持ちで研究を続けていたのでしょうか。この本ではその気持ちの一端がうかがえます。

失敗したときに大切なこととは

「期待値が地まで落ちれば、あとは上がるだけ」

ホーキング博士は21歳のときに医師からALSという難病を宣告されました。ALSとは全身の筋肉が徐々に萎縮していく病気で、進行すると身体が上手く動かせなくなり最終的には死に至ります。ホーキング博士が宣告されたのは、1960年代ですが2018年となった現在でも有効な治療法が開発されていない難病です。しかも、追い打ちをかけるかのようにホーキング博士がALSと診断されたことを知った周囲の人々は、ホーキング博士へ期待することをやめてしまったのです。

周囲の人々からの手のひら返しを受けたホーキング博士は悲しみにくれますが、そこで考え方を改めます。「期待値が地まで落ちれば、あとは上がるだけ」という言葉どおり、ポジティブに物事を考えるようになったホーキング博士は研究結果で周囲の人間を黙らせていきます。そして、最終的には、世界中の誰もが認める天才科学者の称号を手にしたのです。

現代人は生きていく以上、仕事をして収入を得なければいけません。その過程においては、失敗して周囲から冷ややかな目で見られることもあるでしょう。しかし、大切なことは失敗したからといって下を向き続けるのではなく、これからどうしていくかということなのではないでしょうか。

人生が不公平であるならば何をすべきなのか

「ただ自分の置かれた状況の中で最善を尽くせばよい」

仕事をこなすうえで、すべての人が公平な状況であることはまずありません。たとえ同じ営業担当であってもエリアが違えば担当する人間も違います。たまたま、お金を持っている人と仲良くなれて大きな売上をつくって出世した同僚を見ると、「自分はなんてツイていないんだ」と思う人もいるでしょう。

しかし、ホーキングは人々が公平でないことが当然だといいます。ホーキングは「人は、人生が公平ではないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。そしてただ自分の置かれた状況の中で最善を尽くせばよい」と述べているのです。

これは、同じ天才物理学者であるアインシュタインの「神はいつでも公平に機会を与えてくださる」という言葉とは正反対の考え方です。また、世間一般的にもアインシュタインの考え方のほうが受け入れられているでしょう。

しかし、実際問題として多かれ少なかれ他者との間に差異はあります。その差異は埋めようとして埋まるものでしょうか。自分の努力だけではどうにもならないものも多いはずです。ただし、その状況を嘆いていても何も始まりません。大切なのはその状況を受け入れたうえで何をなすべきかであり、そのためにはどのような努力ができるかということです。

挫折を経験している天才だからこそ共感できる部分もある

ホーキング博士のような天才と凡人の自分を結びつけるなんて、大それたことだと思う人もいるかもしれません。確かに、世間一般の人からするとホーキング博士の行ってきた研究は別次元の問題です。

しかし、ホーキング博士も一人の人間であり、生き方については参考になる点があるはずです。『ホーキング 未来を拓く101の言葉』には、私たちが人生を歩んでいくうえでとても参考になる名言がたくさん含まれています。

しかも、難病に苦しんだという挫折を味わっているホーキング博士だからこそ、私たちのような一般人でも共感できる内容となっています。天才物理学者の言葉と聞くと堅苦しい内容を想像する人もいるでしょうが、ユーモアも随所にちりばめられているので決して難しい本ではありません。気軽に読んでみてください。

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