副業でも開業届は出すべき?準備方法と詳しい書き方を解説
新しい事業を始めたとき、税務署へ提出するよう決められているのが開業届。ずっと会社勤めをしてきた人には耳慣れない言葉かもしれませんが、副業を始める際に多くの人が開業届を出しています。
ここでは開業届がどのようなものなのか、提出の際の注意点や記入例についてもご紹介します。準備から提出までの流れについても、しっかりと理解しておきましょう。
そもそも「開業届」とはどんな書類?
開業届の正式名称は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」です。漢字がズラッと並んでとっつきにくい字面ですが、難しい内容ではありません。その名の通り、開業したことを届け出るための書類です。
開業届は国税庁のホームページからダウンロードできます。もちろん税務署でももらえますが、印刷できるなら家で記入していったほうが何かと楽でしょう。
また、税務署へ直接提出するほかに、郵送でも受け付けてもらえます。窓口へ行く時間が取れない人は、記入漏れがないかよく確認してから郵送しましょう。
後から控えを入手するのは大変…2部作成しておこう
提出した際に受領書などはもらえないので、2部作成して提出し、1部は控えとして保管しておきましょう。控えは屋号で銀行口座を開設する際などに必要になります。受領印のないものは控えと見なされないので要注意。
後から手に入れることもできますが、新たに書類を提出することになり手間がかかってしまうので、開業届を出す時点で準備しておくことをおすすめします。
郵送の場合も同じように2部作成し、切手を貼った返信用封筒を同封すれば、後日受領印が押されたものが返送されてきます。
開業届の詳しい書き方
こちらが実際の開業届です。
(国税庁のホームページより)
開業届には書き方の説明も添付されていますが、わかりにくい場合は下記を参考にしてくださいね。
「管轄の税務署長」「日付」
管轄の税務署がわからない場合は、こちらのページから検索できます。提出する日の日付も忘れないよう記入しましょう。
「納税地」
自宅で副業をしている場合、「住所地」を選択して住所を記入します。すぐ下にある「上記以外の住所地・事業所等」については空欄のままで構いません。
「氏名」「生年月日」「個人番号」
わかりやすくハッキリと記入します。氏名の欄には捺印が必要です。シャチハタ印は不可なので、ご注意を。個人番号の欄にはマイナンバーを記入します。
「職業」「屋号」
職業の欄には、当てはまる業種名を記入します。屋号が決まっていない場合には、空欄でも受理されます。
「届出の区分」
「開業」を選択します。住所・氏名以下の部分は事業の引継ぎを受けた場合のみ記入が必要なので、空欄で問題ありません。
「所得の種類」
「事業所得」を選択します。
「開業・廃業等日」
開業した日を記入します。提出日ではないのでご注意を。
「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」
同時に青色申告承認申請書を提出する場合は、「有」を選択します。また、課税事業者選択届出書、もしくは事業廃止届出書を提出する場合には、「有」を選択します。
「事業の概要」
副業の内容を具体的に記入します。
「給与等の支払の状況」
自分1人で副業をするのであれば空欄で大丈夫です。
家族・従業員を雇う場合には、次のように記載が必要です。
家族に手伝ってもらう場合は「専従者」の欄に、従業員を採用する場合は「使用人」の欄に人数を書きます。家族または従業員の給料が8万円までなら、「税額の有無」は「無」を選択。8万円以上の場合には、「有」を選択します。
給与を支払っていると源泉徴収の事務作業をする必要があります。源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出する場合は、下の欄にある「提出の有無」という場所で「有」を選択します。右側にある「給与支払を開始する年月日」には、給与を支払う日付を記入します。
書き忘れや間違いがないかよく確認したら、開業届を2部窓口へ提出しましょう!
開業届、サラリーマンはここに注意!
現在サラリーマンで副業をしている人・始めようとしている人には、注意すべき点がひとつあります。それは、開業届を出すと失業手当がもらえなくなるということ。副業の収入が多くても少なくても同じなので、後悔しないよう慎重に考えましょう。
開業届を出さないとどうなる?
開業届は本業・副業にかかわらず、事業を開始した日から1か月以内に提出するよう定められています。ですが出していないからといって何か罰を受けることもないため、実際には出さずに副業をしている人も一定数います。
しかし開業届を出すと、青色申告ができるようになったり、経費計上が可能になったりと複数のメリットがあります。また、届を出すことで新たなスタートを切ったという意識も持てるでしょう。これから副業を始めようかと考えている人には、ぜひ提出することをおすすめします。