文脈が迷子にならないために!助詞と接続詞を使う際の注意点

書きたい内容は明確なのに、書いている内に何を伝えたい文章なのか分からなくなってしまったという経験はありませんか?そういう場合は、助詞や接続詞の使い方が間違っていないか一度見直してみましょう。

このふたつは、文あるいは文章におけるネジのような存在です、これらを正しく取り付けないと、意味の通じにくい歪な文章になってしまいます。

多様な役割を果たす助詞

まず、助詞から見てみましょう。助詞は単語と単語を結びつけ、互いの関係性を表します。この使い方が案外難しく、ちょっとした違いで文のニュアンスが変わってしまうのです。
例えば、「は」と「が」の使い分けがあります。試しに、以下のふたつの台詞を読み比べてみてください。

(「犯人は誰だ?」という問いかけに対して)

「A氏は犯人です」
「A氏が犯人です」

上と下を比べた場合、下の方が文章として自然だとは思いませんか?これは、主語が話の焦点になっている場合は助詞に「は」を使い、述語が話の焦点の場合は「が」を使うという習慣があるためです。
この台詞の場合は、犯人が誰かということが話の焦点となるため、助詞に「が」を使用するのが正解となります。

他の例としては「コーヒーは苦い」と「コーヒーが苦い」ではどうでしょうか?前者だとコーヒーとはどのようなものであるかの説明であり、後者では苦いものと言えば何かというニュアンスが含まれています。
主語の部分に焦点が当てられているか、述語の部分に焦点が当てられているかで、どちらの文を使用するかは変わってくるわけです。

これはほんの一例であり、助詞にはさまざまな種類と役割があります。それらを完全に理解するのは容易なことではありません。しかし、文を書く時に、この助詞はどのような役割を果たしているのか考えながら書くことは大切なことです。

正確な答えは分からなくとも、それを常に意識することで、自分が伝えたい意味と実際に書かれた文とのギャップは、次第に縮まっていくでしょう。

接続詞は文と文の関連性を考えなら使う

次に接続詞の使い方です。人は、文章を書く時、まず思いついたことから順に文にしていきます。そして、それらを適切につないでいき、正しい流れの文章にしていくのが接続詞の役割です。その使い方が不適切だと文脈がおかしくなってしまいます。
そうならないためには、やはり、その接続詞がどのような役割を果たしているかを考えながら使用していくことが大切です。

例えば、以下の文章を見てください。

「私は全力で走った。( A )、一郎との差は縮まらなかった。( B )次郎は私のすぐ後ろまで迫っていた。」

AとBにはどのような接続詞を入れるべきか分かりますか?
Aの場合は、「全力で走った」という行為に対して「差が縮まらなかった」という結果は予想や期待に反するものなので、括弧の中には「しかし」や「にもかかわらず」といった逆接の接続詞を入れるのが適切です。

それでは、Bの場合はどうでしょうか?まず、「一郎との差が縮まらなかった」ことと「次郎は私のすぐ後ろまで迫っていた」との関係性がどのようなものであるかが問題です。分からない場合は、接続詞の一覧表を見ながら考えてみてください。
そうすると、ある事実に新しい事実を付け加える添付の接続詞である「そして」や「その上」、あるいは、前と後ろの文を比べる対比の接続詞である「一方」辺りを挿入するのが妥当であるだろうということが分かってきます。

このように、常に文と文の関係性を意識ながら接続詞を使っていけば、文章が迷走して文脈が迷子になることも少なくなってくるはずです。

接続詞について (一覧と解説)
http://pothos.main.jp/setuzokusi.htm

接続詞の使い過ぎに気をつける

接続詞は文章の流れを明確にするために存在します。しかし、使いすぎるのも問題です。例えば、以下の文章を見てください。

「僕はその家を出た。そして、海に向かって歩き始める。ちなみに、海までの距離は2キロにも満たない。したがって、30分もずれば着くはずだった。しかし、1時間以上歩き続けても海の気配はなかった。」

特に意味の通らない所はありませんが、接続詞の多用によって少々くどい文章になっています。そこで、接続詞を減らしてみましょう。

「僕はその家を出た。海に向かって歩き始める。その距離は2キロにも満たない。30分もすれば着くはずだった、しかし、1時間以上歩き続けても海の気配はなかった。」

このように、すべての文の間に接続詞がなくても意味は十分汲み取れますし、接続詞が少ない方が読み手にすっきりとした印象を与えます。これは、読み手が無意識の内に、文と文との関係性を推測しているからです。
それ故に、その関係性があまりにも明白だと、間の接続詞を邪魔だと感じてしまいます。

つまり、接続詞というものは、文脈を明確にする代わりに、文章のテンポを鈍くする諸刃の剣なのです。

したがって、文章を書き慣れない内は、接続詞を積極的に使うことをおすすめしますが、ある程度書き慣れてくれば、その必要性を判断しながら、接続詞を減らしていく努力をしなければなりません。
テンポの悪い文章は、読者が途中で投げ出してしまう恐れがあるからです。

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こぶたのまとめ

文脈が迷子にならないために…

  • この助詞はどのような役割を果たしているのか考えながら書く
  • 常に文と文の関係性を意識ながら接続詞を使う
  • 接続詞の使い過ぎに気をつける

助詞と接続詞の必要性を考えて文章を書いていきましょう。
 

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みんなの感想文

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  • 何気なく使っている助詞や接続詞も、使い方によって文章が成り立たなくなってしまうこともあるのだとわかりました。どの助詞を使うのが良いのか、ここでこの接続詞は必要かなどを考えながら文章を書いていくようにします。
  • 接続詞に関しては、以前から気をつけなければいけないと思っていました。そのために、この記事でじっくり学ぶことができて本当に良かったです。これからの文章作成に活用するために、注意深く接続詞を選びたいです。
  • 接続詞や助詞の具体的な使い方の例が詳しく挙げられていて、とても分かりやすく、参考になりました。学校の国語の時間でもこんなに詳しく、文章の書き方は教わりませんでした!これからの自分のライティングに活かしていきたいと思います。
  • 慣れない長文のライティングに挑戦した時に悩むのが、この接続詞の使い方です。私はついつい、ひとつの文章を長めにしてしまい、意味がわかりにくくなってしまうことが多いので、もう少しテンポ良く読める文書を目指したいと思いました。
  • 文章を作っているときに文字数がどうしても足らなくて、接続詞を無理やり足すときがあります。間違ったものを入れてしまいちぐはぐな文章になり、再投稿依頼が来たことも何度か・・・。もっときれいな文章が書けるように気を付けたいです。
  • 正直、今まで助詞と接続詞を意識せず、ニュアンスだけで書いていました。しかし、使い方が不適切だと、読みにくい文章になってしまうことを知りました。これからは、助詞と接続詞の役割を意識しながら記事を書いていこうと思います。
  • 恥ずかしながら、助詞の”は”と”が”の違いをこの記事を読んで初めて知りました。もう一つ参考になったのが、正しい接続詞の使い方。時には接続詞を減らし、文章をスッキリさせる技術も身につけようと思います。例文を踏まえて説明してくれてるので、とてもわかりやすい内容でした。
  • すごくわかりやすくて読みやすい記事でした。特に接続詞の使い方ですが、早速自分の書いた文章を読み直してみると、無駄に多いことがわかり、すごくためになりました。使い過ぎに注意しなければいけないなと、改めて気づかせてくれた記事でした。
  • 自分の文章を振り返ると、接続詞の使い過ぎがこの記事を読んで該当していたので今後気を付けたいなと思いました。また助詞の使い方もたった1字違うだけで表現にこんなに差があるとは思わず奥が深いなと感じました。
  • 助詞や接続詞は、何となくで使っていたので、改めて役割を見てみるともう少し考えて使った方が良いなと思いました。また接続詞ばかり多用してしまう事もあり、くどすぎてしまう事があったので、それには気をつけたいです。
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