マイナンバー法導入に伴う不安とライターとしての心構え

世間から大きな注目を浴びているマイナンバー法。
その反応の多くは、個人情報を管理されることの危惧と個人情報が漏えいするのではないかという不安で占められています。ライターであるみなさんの中にも、この制度によって何か不具合が生じるのではないかと警戒している方も少なくないでしょう。
そこで、マイナンバー法について気をつけなければならないことは何かを検証してみます。

マイナンバー法とはどのような制度なのか

まずはマイナンバー法についてのおさらいです。マイナンバーとは何か?それは住民票に記載されている者全員に与えられる12ケタの固有の番号です。その番号は、個人が一生使用するものであり、特別な事情がない限り、番号を変更することはありません。
そして、番号は各役所で管理されてあるあなたの個人データーにも記載されます。
その目的をひとことで言えば、行政業務の効率化です。これまで部署を越えて、特定の情報を取得しようとするとその手続きはとても煩雑なものでした。

また、煩雑さ故のミスも少なくなかったのです。しかし、すべてのデーターに共通の番号をふっておけば、必要な情報を素早く検索することができ、業務手続きも簡潔なものにすることができます。

拭いがたい不安と一部の誤解

それではなぜ、人々はマイナンバー制を恐れるのでしょうか?ひとつは、それを扱っている人間に個人情報を勝手に閲覧されるのではないかという不安です、しかし、マイナンバーの利用は法律によって、「社会保障」、「納税」、「災害対策」の3分野に限定されています。また、管轄の人間が独断で見ようとしても部署によってアクセス権は限定されているので限られた情報しか見ることはできません。

次に、自分の番号が漏洩した時に、それを入手した人間に個人情報をすべて把握されるのではないかという恐れです。ただ、他人のマイナンバーを知ることができたとしてもそれで好き勝手ができるわけではありません。
例えば、預金の口座番号が分かったとしても入金すること以外何もできなのと一緒で、マイナンバーの個人番号が判明しても暗証番号が分からなくてはどうしようもないのです。仮に、マイナンバーカードを盗み出したとしてもカードのICチップの中には氏名、住所、性別、年年月日程度の情報しか記録されていません。つまり、免許証を盗まれた場合以上の個人情報を知られることはないのです。

また、アメリカでは他人の社会保障番号を使っての年金不正受給が横行していますが、日本では、手続きの際には顔写真付き身分証での本人確認が義務付けられているので、そうしたリスクは極めて低いものです。
さらに、その番号を元にハッキングによって情報を盗もうとしても、個人情報は分散して保管されています。各部署のセキュリティをひとつひとう突破していく必要があり、マイナンバーひとつですべての情報が芋づる式に引き出せるわけでもありません。

そして、もし、マイナンバーカードを紛失したり、番号を他人に知られたりした場合は現番号の凍結と新たな番号の付与が認められているので、すばやく対処することで被害を最小限に抑えることができます。

ここまで説明すれば、当初感じていた大きな不安はある程度解消できたのではないでしょうか?しかし、細かいところまで見ていくと気をつけなければならないことは少なからずあります。
さて、ここからが本題ですが、ライターのみなさんにとって、マイナンバー制施行に伴って注意すべき問題とは何でしょうか?その点について考えてみましょう。

ライターが納税に対して気を付けるべきこと

おそらく、一番大きな問題は納税です。個人事業主としてライターをしている場合、当然、自分で確定申告を行わなければなりません。
しかし、それをついつい忘れている方も多いのではないでしょうか?特に、他に本業を持っている方や主婦が小遣い稼ぎとしてやっている場合は、このぐらいよいだろうと流してしまいがちです。

ところが、実際には、1年間の収入から必要経費を引いた額、つまり、年間所得が38万円以上の場合は確定申告の義務が生じます。また、副業の場合であれば、年間所得が20万円を越えると申告をしなければなりません。
今まではそうした小さな申告漏れは見逃されがちでした。調査の手続きが煩雑すぎて手間に対する成果を考えると割に合わなかったからです。
しかし、2018年からは銀行口座にもマイナンバーが適用され、近い将来にはそれが義務化されると考えられています。そうなると、個人の金の流れが、簡単に調べられるようになるのです。

例えば、口座に本業の給与以外に年間100万円が振り込まれているのに確定申告がないとなれば、怪しいから調べてみようということになります。たとえ、少額でも申告を忘れれば脱税です。今後は申告漏れに関するチェックもより厳しくなると考えられるので、納税については今まで以上に真摯に向き合う必要があります。

また、その納税に付随する問題ですが、副業としてライターを行っている場合、きちんと確定申告をし始めることによって会社に副業がばれる場合があります。というのも、住民税の納税額が副業分もプラスされて会社の方に通知されるからです。その額が給与分よりあきらかに多ければ当然、副業を疑われることになります。勤めている会社が副業を禁止している場合だとこれは少々面倒な問題になるでしょう。それを防ぐには、副業の確定申告の際に自分で納税することを示す「普通徴収」を選択する必要があります。そうすれば、副業の納税分は会社には告知されないので会社側に気づかれることはありません。

いずれにせよ、大事なのは、確定申告をめんどうくさがったり、ズルをしようとしたりしないことです。
納税に対して真剣に向き合うのであれば、マイナンバー制は特に恐れるようなものではありません。

ライターのマイナンバー制に対する心構え

最後にライターとして心がけてほしいのは、この制度についてできるだけ学習を積んでいってほしいということです。
マイナンバー制は近年まれにみる大きな社会制度改革です。しかも、この制度は今後数年に渡って改良されていく予定です。前述したように、このことに対して、不安に思っている人は多くいます。Web上において、美容や健康の記事が人気なように、マイナンバーに関する分かりやすい解説は、現在、特に需要の高い話題のひとつです。端的に言ってしまえば言ってしまえば、メシの種ということになります。

必要とされるネタを見抜き、いつでもそれを記事にできるよう日頃から勉強を怠らないこともライターとして生き残る重要な戦略です。
ぜひ、そのことを肝に銘じておいてください。

 

 

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